エンタープライズアーキテクチャ(EA)
エンタープライズアーキテクチャは、業務と情報システムを、ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、テクノロジアーキテクチャの四つの体系でモデル化し、全体最適化の観点から見直すためのフレームワークです。
最終更新日:2026年10月22日
このページで覚えること
このページでは、次の3点を押さえます。
- 全体最適化と部分最適化の違い、改善を進めるときの考え方
- エンタープライズアーキテクチャの4つの体系と、As-isモデル・To-beモデル・Targetモデル
- ザックマンフレームワークの基本的な考え方
導入トーク

久坂愛華
今回の学習内容は、エンタープライズアーキテクチャです。

久坂愛華
システムの名前ではありません。
業務や情報システムをモデル化して、全体最適化の観点から見直すためのフレームワークです。

久坂愛華
簡単にいうと、「仕事の進め方」と「使っているシステム」を整理して、もっと上手に機能するように見直すための考え方です。

久坂愛華
そのとおりです。
そして、エンタープライズアーキテクチャを理解するうえで大切なのが、全体最適化という考え方です。

久坂愛華
はい。
まずは、その全体最適化という考え方から見ていきましょう。
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STEP 1
部分最適化と全体最適化

久坂愛華
会社の仕事を改善するときには、一つの部署に注目する見方と、会社全体に注目する見方があります。
部分最適化は、部署や特定の業務など、一部分にとってよい状態を目指すことです。

久坂愛華
はい。
例えば、ある販売会社の営業部、倉庫部門、経理部が、それぞれ自分たちにとって使いやすいシステムを導入したとしましょう。

久坂愛華
ところが、システムどうしで情報をやり取りできず、営業部が入力した注文内容を、倉庫部門や経理部でも入力し直していたのです。

久坂愛華
そうですね。
各部署の中では使いやすくても、会社全体で見ると、重複した作業が発生しています。
このように、各部分にとってよい状態が、そのまま全体にとってよい状態になるとは限りません。

久坂愛華
はい。
そこで、注文を受けてから、商品を出荷し、代金を請求するまでの流れを、部署をまたいで見直します。
必要な情報を共有し、入力の重複や連絡待ちを減らせば、会社全体として、正確で速い仕事ができるようになりますね。
このように、組織全体の目標に向けて、業務やシステムのつながりを整え、全体としてよい状態を目指すことが、全体最適化です。

久坂愛華
そのとおりです。
エンタープライズアーキテクチャでも、この全体最適化の観点から、業務とシステムを見直すことを大切にします。

久坂愛華
全体最適化を目指すことは、会社全体を一度に完璧に変えることではありません。
全体の計画を考えるだけで何も進まなくなるなら、効果のある部分から改善を始めることも大切です。

久坂愛華
はい。
ほかの部署への影響や、将来のシステム連携を確認したうえで、できるところから進めて構いません。
例えば、営業部の注文入力画面を見直して、入力ミスを減らす改善を先に進めます。
そのとき、ほかの部署へ渡すデータの項目や形式をそろえておけば、後のシステム連携にも生かしやすくなります。

久坂愛華
そうです。
一方、自分の部署の手間を減らすために、ほかの部署の手間を増やしてしまっては困りますね。
大切なのは、全体の方向性を意識しながら、部分的な改善を積み重ねることです。
そのためにも、会社全体の業務やシステムが、どのようにつながっているかを整理しておく必要があります。
ここで覚えること
- 部分最適化=部署や特定の業務など、一部分にとってよい状態を目指すこと。
- 全体最適化=組織全体の目標に向けて、全体としてよい状態を目指すこと。
- エンタープライズアーキテクチャでは、全体最適化の観点から業務とシステムを見直す。
- 全体の方向性や他部署への影響を確認し、部分的な改善から段階的に進めてよい。
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STEP 2
エンタープライズアーキテクチャ

久坂愛華
ここからは、エンタープライズアーキテクチャの具体的な内容を見ていきましょう。
英語のEnterprise Architectureを略して、EAと呼びます。
エンタープライズアーキテクチャでは、組織全体の業務とシステムをモデル化し、全体最適化の観点から改善を考えます。

久坂愛華
仕組みや関係を整理して、図や表などで表すことです。
例えば、「どの部署が何をするか」「どの情報をやり取りするか」「どのシステムを使うか」を整理します。
会社全体を頭の中だけで考えるよりも、問題や改善の方向を共有しやすくなります。

久坂愛華
はい、そのイメージで大丈夫です。
現在、情報処理技術者試験でEAの基本として押さえておきたいのが、次の4つの体系です。
業務・データ・アプリケーション・技術という4つの領域から、組織全体をモデル化して整理します。
| 体系 | 整理する内容 |
|---|---|
| ビジネスアーキテクチャ(BA) | 組織の目標、業務の内容や流れ |
| データアーキテクチャ(DA) | 業務に必要なデータと、データどうしの関係 |
| アプリケーションアーキテクチャ(AA) | 業務を支えるアプリケーションの機能や、相互の連携 |
| テクノロジアーキテクチャ(TA) | システムを動かすハードウェア、OS、ネットワークなどの技術 |

久坂愛華
日本語だと、政策・業務体系、データ体系、適用処理体系、技術体系の4つになります。

久坂愛華
失礼しました。
それだとそれぞれの頭文字を取ってBDATと覚えても良いですね。

久坂愛華
それは良かったです。
まずは、この業務・データ・アプリケーション・技術の4つを考えてください。
先ほどの販売会社に当てはめると、違いが分かりやすくなります。
最初のビジネスアーキテクチャでは、「どのような仕事を、どのように進めるか」を整理します。
例えば、注文を受け、在庫を確認し、商品を出荷して、代金を請求するという業務の流れです。

久坂愛華
はい。
次のデータアーキテクチャでは、その仕事に必要な情報を整理します。
例えば、顧客、商品、注文などのデータです。
「どの顧客からの注文か」「どの商品がいくつ注文されたか」といった、データどうしの関係も整理します。

久坂愛華
そのとおりです。
そして、アプリケーションアーキテクチャでは、業務を支えるシステムの機能や連携を整理します。
例えば、受注管理システム、在庫管理システム、会計システムが、どの仕事を担当し、どのように情報を受け渡すかです。

久坂愛華
はい。
最後のテクノロジアーキテクチャでは、それらのシステムを動かすための技術を整理します。
サーバや端末、OS、ネットワークなどを、どのように構成するかを考えます。

久坂愛華
例えば、「受注管理システムから在庫管理システムへ注文情報を渡す」という、機能や連携を見るのが、アプリケーションアーキテクチャです。
一方、「そのシステムを、どのサーバやOSで動かし、どのネットワークでつなぐか」を見るのが、テクノロジアーキテクチャです。

久坂愛華
はい、その整理で大丈夫です。
この4つを関連付けて考えることで、業務の目的に合ったシステムを整えやすくなります。
ここで覚えること
- BA=業務。 組織の目標や、仕事の内容・流れ。
- DA=データ。 必要な情報と、情報どうしの関係。
- AA=アプリケーション。 業務を支える機能や、システム間の連携。
- TA=技術。 ハードウェア、OS、ネットワークなどの土台。
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STEP 3
As-isモデル・To-beモデル・Targetモデル

久坂愛華
業務やシステムを見直すときには、まず「今どうなっているか」を整理します。
現状を表すモデルが、As-isモデルです。

久坂愛華
はい。
どのような手順で仕事をしているか、どのデータを使っているか、どのシステムが動いているかを整理します。
先ほどの会社なら、部署ごとに同じ注文を入力し直していることや、システム間で情報が連携していないことなどが分かりますね。

久坂愛華
あります。
理想的なあるべき姿を表すモデルが、To-beモデルです。

久坂愛華
はい。
例えば、注文情報を一度登録すれば、出荷や請求にも使えるようになり、部署ごとの重複入力がなくなる、といった姿です。
ただし、理想の姿が決まったからといって、すぐにそこまで変えられるとは限りません。

久坂愛華
はい。
そこで、As-isモデルとTo-beモデルを比較して、現実的な業務改革の方針や、次に導入する情報システムの目標を決めます。
その次に実現する姿を表すモデルが、次期モデルです。

久坂愛華
Targetモデルという言い方をすることがありますね。

久坂愛華
ここで、モデルを作る順番と、実際に移行する順番を整理しておきましょう。
モデルを考えるときは、まずAs-isで現状を確認し、次にTo-beで理想の姿を描きます。
そして、その差を踏まえて、現実的に次に実現するTargetを決めます。
一方、実際の移行では、As-isからいきなりTo-beへ進むのではなく、まずTargetへ移行します。
Targetを実現した後は、その状態が新しいAs-isとなり、さらにTo-beへ近づけていきます。


久坂愛華
そのとおりです。
販売会社の例で整理してみましょう。
| 体系 | As-is:現状 | To-be:理想の姿 | Target:次に実現する姿 |
|---|---|---|---|
| 業務 | 注文内容を部署ごとに入力し直している | 注文から出荷・請求まで一連の業務を効率化する | まず重複入力の多い受注・在庫業務を見直す |
| データ | 部署ごとに異なる商品コードを使っている | 全社で共通の商品コードを使う | 主要商品の商品コードから統一する |
| アプリケーション | 受注・在庫・会計システムが連携していない | 必要な情報をシステム間で自動連携する | まず受注管理と在庫管理を連携する |
| 技術 | 部署ごとに異なるサーバやOSを個別管理している | 共通の技術基盤で効率よく管理する | 更新時期を迎えたシステムから共通基盤へ移行する |

久坂愛華
はい。
そして、Targetモデルを実現するために、何をどの順番で変更するかを考えます。
データの項目やコードをそろえてからシステムを連携させるなど、実施する順序や時期を決めた移行計画を立てます。

久坂愛華
そのとおりです。
モデルを作ることで、今の問題、理想の姿、そして現実的に次に何を変えるのかを共有しやすくなります。
ここで覚えること
- As-isモデル=現状を表すモデル。
- To-beモデル=理想的なあるべき姿を表すモデル。
- 次期(Target)モデル=As-isとTo-beを比較して決める、次に実現する現実的な姿。
- モデルを考える順番は、As-is → To-be → Target。
- 実際の移行では、まずAs-is → Targetへ進む。
- Targetモデルを実現するために、実施順序や時期を定めた移行計画を考える。
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STEP 4
ザックマンフレームワーク

久坂愛華
ここまで、エンタープライズアーキテクチャを、ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーという4つの体系から整理してきました。
現在、情報処理技術者試験でEAといえば、まずこの4つの体系を使ったモデルを押さえてください。

久坂愛華
はい。
ただ、EAには以前からさまざまな考え方があり、その代表的なものの一つがザックマンフレームワークです。
ザックマンフレームワークは、ジョン・ザックマンが提案した、EAの発展の初期からある伝統的なアーキテクチャフレームワークです。

久坂愛華
いいえ。
ザックマンフレームワークでは、4つの体系ではなく、6つの問いと6つの視点を組み合わせた6×6の表を使って、企業全体を整理します。


久坂愛華
はい。
少しややこしいところですね。
ザックマンフレームワークは、現在試験で基本として学ぶ4体系のEAよりも以前からある、伝統的なEAの考え方の一つです。
そのため、広い意味ではザックマンフレームワークもEAに含まれます。
ただし、現在の情報処理技術者試験で単に「EA」と出てきた場合には、まずは先ほど学習した4つの体系によるEAを考えてください。

久坂愛華
はい。その整理で大丈夫です。
では、ザックマンフレームワークが、どのように企業を整理するのか見てみましょう。
ザックマンフレームワークでは、「何について整理するか」と「どの立場・視点から見るか」を組み合わせます。
まず、「何について整理するか」を、次の6つの問いで考えます。
5W1Hに当たるものです。
| 問い | 注目する内容 | 販売会社で考える例 |
|---|---|---|
| What:何を | データや、扱う対象 | 顧客、商品、注文 |
| How:どのように | 機能や処理、業務の流れ | 受注、在庫確認、出荷、請求 |
| Where:どこで | 場所や拠点、ネットワーク | 本社、営業所、倉庫 |
| Who:誰が | 人や組織、役割 | 営業担当者、倉庫担当者、経理担当者 |
| When:いつ | 時期やタイミング | 注文を受けたとき、出荷したとき、月末 |
| Why:なぜ | 目的や目標、方針 | 商品を正確に、早く届ける |

久坂愛華
そのとおりです。
そして、同じ会社の仕組みでも、経営者、業務の責任者、システムの設計者などでは、必要とする見方が変わります。
ザックマンフレームワークでは、このような6つの視点を縦に並べます。
| 視点 | 簡単にいうと |
|---|---|
| プランナー | 企業全体を大きく捉える |
| オーナー | 業務の立場から捉える |
| デザイナー | システム設計の立場から捉える |
| ビルダー | 技術や構築の立場から捉える |
| サブコントラクター | 実装の詳細から捉える |
| 実際のシステム | 実際に動いている企業・システム |

久坂愛華
そうですね。
ザックマンフレームワークは、企業全体を多くの角度から細かく整理できる反面、36の組合せを扱うため、とても細かな枠組みです。

久坂愛華
現在の情報処理技術者試験では、EAの基本として、業務・データ・アプリケーション・技術という4体系のモデルが定番になっています。
ザックマンフレームワークは、そのEAの考え方の源流の一つとして、「6×6の表で企業全体を多面的に整理する伝統的なフレームワーク」と押さえておけば大丈夫です。

久坂愛華
そのとおりです。
ここで覚えること
- 現在の情報処理技術者試験でEAといえば、まず4つの体系を押さえる。
- ザックマンフレームワーク=EAの発展の初期からある、伝統的なアーキテクチャフレームワーク。
- ザックマンフレームワークは、What・How・Where・Who・When・Whyの6つの問い × 6つの視点で整理する。
- 4体系のEAとザックマンフレームワークは、整理の仕方が異なる。
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STEP 5
今日のまとめ

久坂愛華
今回は、エンタープライズアーキテクチャを学習しました。
現在、情報処理技術者試験でEAといえば、組織全体の業務とシステムを4つの体系で整理し、全体最適化を図る考え方を基本として押さえます。

久坂愛華
そうでしたね。
部署の中だけでなく、仕事や情報のつながりまで見ることが大切です。
今回の内容を整理しましょう。
| 学習内容 | 押さえるポイント |
|---|---|
| 部分最適化 | 部署や特定の業務など、一部分にとってよい状態を目指す |
| 全体最適化 | 組織全体の目標に向けて、全体としてよい状態を目指す |
| エンタープライズアーキテクチャ(EA) | 組織全体の業務とシステムを整理し、全体最適化を図る |
| 4つの体系 | BA=業務、DA=データ、AA=アプリケーション、TA=技術 |
| As-isモデル | 現状を表す |
| To-beモデル | 理想的なあるべき姿を表す |
| 次期(Target)モデル | As-isとTo-beを比較して決める、次に実現する現実的な姿 |
| ザックマンフレームワーク | EAの発展の初期からある伝統的な枠組み。6つの問い×6つの視点で整理する |

久坂愛華
そのとおりです。
そして、全体最適を目指しながら、できる部分から段階的に改善を進めていくことも大切です。

久坂愛華
はい。ほかの部署への影響や、将来のつながりも確認しながら進めましょう。
エンタープライズアーキテクチャでは、その判断のために、仕事の進め方、使う情報、システムや技術を一緒に整理します。

久坂愛華
名前は長いですが、まずは「会社全体の仕組みを整理して、よりよくするための考え方」と捉えれば大丈夫です。
それでは、確認問題に進みましょう。
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STEP 6
確認問題
学習完了
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