フォールトトレラント
フォールトトレラントは、システムの一部に障害が発生した場合でも、システム全体としては必要な機能を維持できるようにするという考え方です。
最終更新日:2026年7月24日
このページで覚えること
このページでは、次の3点を押さえます。
- フォールトトレラントは、障害が発生しても必要な機能を維持するという考え方である
- フェールソフトは、機能や性能を落としてでも処理を継続する考え方である
- フェールセーフ、フォールバック、フールプルーフなど、似た用語も一緒に押さえる
導入トーク

須藤茜
今回は、フォールトトレラントについて学習していきます。

須藤茜
フォールトトレラントは、システムの一部に障害が発生した場合でも、システム全体としては必要な機能を維持できるようにするという考え方です。

須藤茜
普通はそう考えますよね。
でも、重要なシステムでは、一部に障害が起きても、できるだけサービスを止めないように設計することがあります。

須藤茜
トンチではないです。
フォールトトレラントでは、障害は起きるものと考えて、その上でシステムが止まらないようにします。
分かりやすい例がシステムの二重化です。
同じ役割を持つ機器やシステムを複数用意しておけば、片方に障害が起きても、もう片方で処理を続けられます。

須藤茜
このように、一部に故障や障害が起きても、システム全体として必要な機能を維持できるようにする考え方が、フォールトトレラントです。

須藤茜
そこも軽く整理しておきましょう。
フォールトトレラントは、障害が発生しても必要な機能を維持するという考え方のことですが、フォールトトレランスと比較する場合は、障害に耐える性質を備えているという意味になります。
一方で、フォールトトレランスは、障害に耐える性質、つまり耐障害性のことを意味します。
トレラントが形容詞形で、トレランスが名詞形という違いです。

須藤茜
はい、その理解で大丈夫です。
たとえば、フォールトトレラントシステムといえば、障害が起きても必要な機能を維持できるように作られたシステム、という意味になります。

須藤茜
ただし、試験対策上は、フォールトトレラントとフォールトトレランスの違いを聞いてくることはありませんから、あまり気にしない方がよいですね。

須藤茜
フォールトトレラントとフォールトトレランスの違いは聞かれませんが、フォールトアボイダンスやフォールトマスキングとの違い、フェールソフトとフェールセーフの違い、フォールバックやフールプルーフなどの紛らわしい用語については問われます。
今回はその辺りの用語についても確認していきましょう。
STEP 1
フォールトトレラントとは

須藤茜
まずは、フォールトトレラントの基本を確認しましょう。
フォールトトレラントは、システムの一部に障害が発生しても、システム全体として必要な機能を維持できるようにする考え方です。

須藤茜
はい。
故障や障害を完全にゼロにするのではなく、障害が起きることを前提にして、システム全体への影響を小さくする考え方です。

須藤茜
その通りです。
たとえば、重要な機器を二重化したり、予備の装置を用意したりして、一部が故障しても処理を続けられるようにします。

須藤茜
故障が発生した場合に、すぐに予備の装置に切り替えて、システムを止めないようにすると考えてください。
予備の装置を用意したり、二重化したりすることを冗長化という風に言う場合もあります。

須藤茜
はい。
本来は、冗長というと、無駄なとか重複しているというネガティブな意味で使われます。
ですが、ITの分野では、障害に備えて予備を持たせるというポジティブな意味合いになります。

須藤茜
ボケるのはよいですが、間違って覚えないようにしてくださいね。
ここで覚えること
- フォールトトレラントは、障害が起きても必要な機能を維持するための考え方
- 障害を完全になくすのではなく、障害が起きても止まらないようにする
- 二重化や冗長化は、フォールトトレラントを実現するための代表的な工夫である
STEP 2
フェールソフトとフォールバック

須藤茜
次に、フェールソフトを見ていきます。
フェールソフトは、障害が起きたときに、機能を縮小したり、性能を低下させたりしてでも、処理を継続させるという考え方です。

須藤茜
フォールトトレラントは、障害が発生してもシステムを止めないようにする考え方のことで、二重化や冗長化なども含んだ表現になります。
一方、フェールソフトは、なんとか処理を継続するために、必要最小限の機能に絞って処理を継続させるという考え方で、フォールトトレラントを実現するための方法の一つという位置付けです。

須藤茜
障害が発生した場合に、100%の状態で処理を継続するのが難しい場合に、機能や性能を落としてでも構わないので、処理を継続させることを優先する。
この考え方をフェールソフトと言います。

須藤茜
その通りです。
また、このように、機能を制限した状態で運転することを、縮退運転と言います。
英語で言うと、フォールバックですね。

須藤茜
そうですね。そうすると覚えやすいかもしれませんね。
ちなみにフォールバックも、後退という意味を持つ言葉ですね。

須藤茜
はい、その理解でとくに問題ないと思います。
細かく言うと、フェールソフトは、機能を縮小してでも処理の継続を優先するという考え方です。
縮退運転やフォールバックは、処理を継続するために機能を縮小した運転状態という違いがあります。
ここで覚えること
- フェールソフトは、機能や性能を落としてでも処理を継続する考え方
- 機能を制限した状態で運転することを、縮退運転、またはフォールバックという
- 試験対策では、フェールソフト、縮退運転、フォールバックをセットで覚える
STEP 3
フェールセーフ

須藤茜
次は、フェールセーフです。
フェールセーフは、故障や障害が起きたときに、システムを停止しても構わないので、安全な状態へ制御するという考え方です。

須藤茜
はい。
フェールセーフでは、処理を続けることよりも、安全を優先します。
たとえば、機械に異常があったときに自動停止する仕組みは、フェールセーフの考え方です。

須藤茜
その通りです。
フェールソフトは、機能や性能を落としてでも処理を続ける考え方です。
一方、フェールセーフは、処理を止めることになっても、安全な状態にすることを優先します。

須藤茜
はい。
この違いは試験でも問われやすいので、しっかり押さえておきましょう。
フェールセーフの例
- 電車で異常があれば停止する
- 機械の異常時に自動停止する
- 危険な操作が行われたときに動作を止める
ここで覚えること
- フェールセーフは、障害時に常に安全側に制御する考え方
- フェールソフトは処理の継続を重視する
- フェールセーフは安全を重視する
STEP 4
フールプルーフ

須藤茜
次は、フールプルーフです。
フールプルーフは、人が誤った操作をしても、重大な事故や故障に繋がらないようにする仕組みです。

須藤茜
とてもよいところに気が付きましたね。
フォールトトレラントやフェールソフト、フェールセーフは、故障が発生した場合の対応です。
一方、フールプルーフは、故障が発生しないようにするための仕組みです。

須藤茜
いいえ、違います。
ポイントは、利用者が誤った操作をしても故障に繋がらないというところです。

須藤茜
ごめんなさい。
でも、着眼点がよいのは本当ですよ。
たとえば、障害が発生した場合に処理の継続を優先するフェールソフトは、フォールトトレラントに該当します。
一方、誤った操作が障害発生に繋がらないようにするフールプルーフは、障害の発生を防ぐという考え方のフォールトアボイダンスに該当します。

須藤茜
フォールトアボイダンスはまた後で説明しますので、いったんフールプルーフの説明に戻りますね。

須藤茜
フールプルーフについては、向きが違うと差し込めないコネクタや、扉が閉まっていないと動かない電子レンジなどをイメージしてください。

須藤茜
まあ、分かりやすい例ということで見逃して欲しいのですが、コンピュータシステムの話で言うと、入力漏れがないかをチェックする機能などはフールプルーフに該当しますね。

須藤茜
フールプルーフのフールは、愚か者という意味です。
エイプリルフールとか、タロットカードの愚者がフールなので、フール=愚か者はイメージしやすいかもしれませんね。
また、プルーフは、防ぐ、通さない、耐える、という意味で使われます。
こちらは、防水のことをウォータープルーフと言うことがありますので、ここから連想してもらえればと思います。

須藤茜
そうですね。
くだけた言い方をすれば、バカ防止機能ですね。
日本語ではポカよけと言われることが多いかもしれません。
フールプルーフの例
- 向きが違うと差し込めないコネクタ
- 扉が閉まっていないと動かない電子レンジ
- 入力ミスを防ぐ確認画面
- 誤操作しにくいボタン配置
ここで覚えること
- フールプルーフは、人の誤操作を防ぐ設計
- 「フール=愚か者」「プルーフ=防ぐ」と考えると覚えやすい
STEP 5
フォールトアボイダンスとフォールトマスキング

須藤茜
ここからは、余裕があれば押さえておきたい用語です。
フォールトアボイダンスと、フォールトマスキングを確認しましょう。

須藤茜
まず、フォールトアボイダンスです。
アボイダンスは、回避という意味です。
フォールトアボイダンスは、故障や障害を回避する、つまり、そもそも障害が起きにくいようにする考え方です。

須藤茜
はい。
高品質な部品を使う、設計ミスを減らす、十分にテストする、といった対策がイメージしやすいです。
先ほどのフールプルーフも、フォールトアボイダンスに該当します。

須藤茜
次に、フォールトマスキングです。
マスキングは、覆い隠すことです。
フォールトマスキングは、内部で障害が起きても、その影響を外から見えにくくする考え方です。

須藤茜
はい。
ただし、単に隠してごまかすという意味ではありません。
障害の影響を利用者やシステム全体に出さないように吸収する、と考えると分かりやすいです。

須藤茜
はい、その整理で大丈夫です。
ここで覚えること
- フォールトアボイダンスは、障害が起きにくいようにする考え方
- フォールトマスキングは、障害の影響を外から見えにくくする考え方
- どちらもフォールトトレラントに関連する用語として押さえる
STEP 6
似た用語の整理

須藤茜
ここまで、似た言葉がたくさん出てきました。
最後に表で整理しておきましょう。
| 用語 | ざっくり意味 | 重視すること |
|---|---|---|
| フォールトトレラント | 障害が起きても必要な機能を維持する | 継続 |
| フェールソフト | 機能や性能を落としてでも処理を続ける | 処理の継続 |
| フォールバック | 通常どおりが難しいときに、機能を落とした状態や代わりの方法で続ける | 縮退して継続 |
| フェールセーフ | 障害時に安全側に制御する | 安全 |
| フールプルーフ | 人が誤操作しても事故や故障に繋がらないようにする | 誤操作防止 |
| フォールトアボイダンス | そもそも障害が起きにくいようにする | 予防 |
| フォールトマスキング | 障害の影響を外に見せにくくする | 影響を隠す・吸収する |

須藤茜
はい。
処理を続けるのか、安全を優先するのか、人のミスを防ぐのか。
そこを分けて考えると整理しやすくなります。

須藤茜
……。

須藤茜
今回は説明に含めていませんが、他にもフェールオーバーやフェールバックといった用語があります。
フェールオーバーは、障害時に予備のシステムへ切り替えることです。
フェールバックは、障害が復旧したあとに元のシステムへ戻すことです。

須藤茜
はい。
フォールバックとフェールバックは名前が似ているので、一気に学ぶと混乱すると思います。
今回は、フェールオーバーとフェールバックは無視してください。
STEP 7
今日のまとめ

須藤茜
最後に、今日の内容をまとめます。
おさらいポイント
- フォールトトレラントは、障害が発生しても必要な機能を維持するための考え方
- フェールソフトは、機能や性能を落としてでも処理を継続する考え方
- フォールバックは、縮退運転のことで、機能を落とした状態で運転すること
- フェールセーフは、障害時に常に安全側に制御する考え方
- フールプルーフは、人の誤操作を防ぐ仕組み
- フォールトアボイダンスは、障害が起きにくいようにする考え方
- フォールトマスキングは、障害の影響を外に見せにくくする考え方

須藤茜
はい、その整理で大丈夫です。
試験では、似た言葉の意味を混同しないことが大切です。
言葉の響きだけでなく、何を重視している考え方なのかを押さえておきましょう。

須藤茜
よかったです。
それでは、確認問題で内容をチェックしてみましょう。
STEP 8
確認問題
学習完了
須藤茜コイン × 2 を獲得できます。
確認問題に全問正解すると、講師コインを獲得できます。
未ログイン中のコインは、このブラウザに一時保存されます。無料登録またはログイン後に、アカウントへ反映できます。




