不正競争防止法
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を守るための法律です。営業秘密や限定提供データを保護するとともに、不正な目的でのドメイン名の取得・保有・使用や、他人の商品形態を模倣した商品の提供などを、不正競争として規制しています。
最終更新日:2026年10月20日
このページで覚えること
このページでは、次の3点を押さえます。
- 不正競争防止法で「不正競争」として定められている行為の例
- 営業秘密の3要件と、限定提供データの特徴
- ドメイン名の不正取得・使用と、デッドコピーの意味
導入トーク

遊佐陽香
今回は、不正競争防止法について学習します。

遊佐陽香
はい、不正な競争を防止する法律です。
バロンくんは、不正な競争と聞くと、どのようなものを思い浮かべますか?

遊佐陽香
運動会の競争を思い浮かべたんですね。
ここでいう「競争」は、お店や企業どうしが、商品やサービスを売るために行う競争です。
例えば、タコの唐揚げ専門店なら、味やサービスを工夫して、お客さんに選んでもらおうとしますよね。

遊佐陽香
そうです。
ところが、ライバル店が、秘密のレシピを盗んで使ったり、バロンくんのお店の名前に便乗してお客さんを集めたりしたら、どうでしょうか?

遊佐陽香
そうした不正な競争を防ぎ、正当な努力が守られるようにするのが、不正競争防止法です。
今回は、バロンくんがタコ唐のお店を開くと考えて、具体的に見ていきましょう。
STEP 1
不正競争防止法と「不正競争」

遊佐陽香
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を守るために、不正競争を防止する法律です。

遊佐陽香
残念ながら、そういう意味ではありません。
例えば、他店より安い価格で売ったり、商品やサービスを工夫したりして競い合うことは、商売の中で普通に行われる公正な競争です。

遊佐陽香
一方で、不正な手段によって相手の成果や信用を利用するなど、公正な競争を損なう行為もあります。
不正競争防止法では、どのような行為が「不正競争」に当たるのかを、法律の中で具体的に定めています。

遊佐陽香
例えば、次のような行為が定められています。
- 広く知られている他人の商品名や店名などと同じ、または似た表示を使って、他人の商品や営業と混同させる行為
- 著名な商品名や店名などを、無断で利用する行為
- 他人の商品の形態を模倣した商品を提供する行為
- 営業秘密を不正に取得・使用・開示する行為
- 限定提供データを不正に取得・使用・開示する行為
- コピーガードなどの技術的な制限を無効にする装置やプログラムを提供する行為
- 他人の商品名や店名などと同一・類似するドメイン名を、不正な目的で取得・保有・使用する行為
- 商品の原産地や品質などについて、誤解させる表示をする行為
- 競争相手の信用を傷つける、うその事実を告げたり広めたりする行為

遊佐陽香
そうですね。
また、不正競争によって営業上の利益を侵害された事業者は、行為の差止めや、損害賠償を求めることができます。
差止めは、不正な行為をやめさせたり、起こらないようにしたりすることです。
損害賠償は、受けた損害を金銭などで補ってもらうことです。

遊佐陽香
はい。
今回は、その中でも試験で押さえておきたい、営業秘密、不正な目的でのドメイン名の取得・保有・使用、商品の形態を模倣するデッドコピー、限定提供データを中心に見ていきます。

遊佐陽香
そのとおりです。
まずは、営業秘密から見ていきましょう。
ここで覚えること
- 不正競争防止法=事業者間の公正な競争を守るために、不正競争を防止する法律
- 「不正競争」に当たる行為は、法律で具体的に定められている
- 不正競争によって被害を受けた事業者は、差止めや損害賠償を求めることができる
STEP 2
営業秘密と3つの要件

遊佐陽香
最初は、営業秘密です。
営業秘密とは、秘密として管理され、事業活動に役立ち、公然と知られていない情報のことです。
例えば、製品の製造方法、顧客名簿、独自のレシピなどが、保護の対象になり得ます。

遊佐陽香
そうですね。
ただし、そのレシピが営業秘密として保護されるには、次の3つの要件をすべて満たすことが必要です。
| 要件 | 意味 | タコ唐のレシピで考える例 |
|---|---|---|
| 秘密管理性 | 秘密として管理されていること | 秘密のレシピとして、実際に適切な管理が行われている |
| 有用性 | 事業活動に役立つ情報であること | お店の味を安定して再現するために役立つ |
| 非公知性 | 公然と知られていないこと | 一般に公開されておらず、誰でも簡単に知ることができない |

遊佐陽香
はい。その3つをすべて満たす必要があります。
特に、秘密管理性では、自分が秘密だと思っているだけではなく、実際に秘密として管理していることが大切です。
例えば、レシピに「社外秘」と表示するだけでなく、閲覧できる人を限ったり、紙のレシピなら施錠できる場所に保管したりするなど、秘密の情報として適切に管理します。

遊佐陽香
そのとおりです。
形だけ秘密にしているのではなく、実際の管理状況も重要になります。
次の有用性は、事業に役立つ情報であることです。
おいしいタコ唐を安定して作れるレシピなら、お店の営業に役立ちますね。
そして、非公知性は、公然と知られていないことです。

遊佐陽香
いいえ。秘密として管理していることと、公然と知られていないことは別です。
例えば、インターネットですでに公開されているタコ唐のレシピを印刷して、金庫に入れて厳重に管理したとします。
それでも、そのレシピはすでに誰でも知ることができる情報なので、非公知性を満たしません。

遊佐陽香
そのとおりです。
秘密管理性と非公知性は別の要件なので、両方を満たす必要があります。
反対に、誰にも知られていない情報でも、秘密として管理していなければ、秘密管理性を満たしません。

遊佐陽香
そして、不正競争防止法は、営業秘密を盗むなどして不正に取得する行為や、不正に使用・開示する行為などを規制しています。
例えば、ライバル店が秘密のレシピを盗んで自分のお店で使ったり、従業員が不正な利益を得るために秘密のレシピを他店へ売り渡したりする場合です。

遊佐陽香
そうならないよう、大切な情報をきちんと管理することが必要ですね。
ここで覚えること
- 営業秘密の3要件=秘密管理性・有用性・非公知性
- 3つの要件をすべて満たす必要がある
- 秘密として管理していても、すでに公然と知られている情報は非公知性を満たさない
- 営業秘密の不正な取得・使用・開示などが規制される
STEP 3
紛らわしいドメイン名

遊佐陽香
次は、ドメイン名です。
ドメイン名は、インターネット上でWebサイトなどを識別するために使われる名前です。
バロンくんが、「バロンのタコ唐」というお店を開いたとしましょう。

遊佐陽香
ところが、お店とは無関係な人が、バロンくんのお店の名前とよく似たドメイン名を先に取得しました。
そして、バロンくんのお店の公式サイトだと思わせて、自分の商品を売り始めたとします。

遊佐陽香
そうですね。
不正競争防止法では、他人の商品名や店名などと同じ、または似ているドメイン名を、不正な目的で取得・保有・使用する行為が規制されています。

遊佐陽香
はい。ただし、不正な目的である場合に限ります。
ここでいう不正な目的とは、不正の利益を得る目的や、他人に損害を与える目的です。
たまたま似た名前のお店が、それぞれ正当に事業を行っているというだけで、このドメイン名の規定による不正競争になるわけではありません。

遊佐陽香
そのとおりです。
例えば、他社の知名度に便乗して自分のサイトへお客さんを誘導する目的で、よく似たドメイン名を取得・使用する場合があります。
ほかにも、他のお店の名前と同じドメイン名を先に取得して、「このドメイン名を使いたければ、高い金額で買い取ってください」と持ちかけたり、相手の営業を妨害する目的でドメイン名を取得・使用したりする場合もあります。
このように、他人の商品名や店名などと同じ、または似たドメイン名を、不正な目的で取得・保有・使用する行為が規制されています。

遊佐陽香
ハッシュタグとドメイン名は別のものです。
同じ、または似たハッシュタグを使ったことに対して、このドメイン名の規定が適用されるわけではありません。
ただし、ハッシュタグの使い方によっては、商標権など別の問題が生じることはあります。
同じハッシュタグだから必ず違法になるわけでも、必ず問題がないといえるわけでもありません。

遊佐陽香
そうですね。
ドメイン名では、名前が同じか似ているかだけでなく、不正な目的があるかを見ることが大切です。
ここで覚えること
- 他人の商品名や店名などと同一・類似するドメイン名を、不正な目的で取得・保有・使用する行為が規制される
- 不正な目的=不正の利益を得る目的や、他人に損害を与える目的
- 名前が同じ・似ているというだけで、直ちにこの規定の不正競争になるわけではない
STEP 4
デッドコピー

遊佐陽香
次は、デッドコピーです。

遊佐陽香
そういう意味ではありません。
日本では、元の商品をそっくりそのまま模倣したような商品を、デッドコピーと呼んできました。
不正競争防止法では、「模倣」を、他人の商品形態に依拠して、実質的に同一の形態の商品を作り出すこととしています。

遊佐陽香
そうですね。
ここでは、商品の形や模様、色彩などの形態に注目します。
例えば、バロンくんが、タコ唐を盛り付けるための、独特な形や飾りを付けたオリジナルの小皿を開発し、販売したとします。
すると、別の会社がその小皿を基に、細かな凹凸や飾りまで実質的に同じ形の商品を作り、販売し始めました。

遊佐陽香
そうですね。
不正競争防止法では、他人の商品の形態を模倣した商品を販売するなどの行為が規制されています。
先に商品を開発した事業者がかけた費用や努力を、そっくりまねした商品で簡単に利用されないようにするためです。

遊佐陽香
はい。
ただし、この商品形態の模倣について、不正競争防止法による保護がいつまでも続くわけではありません。
日本国内で最初に販売された日から3年間が、この規定による保護期間です。

遊佐陽香
この規定は、先に商品を開発した事業者が、開発にかけた投資を回収する機会を守るためのものでもあります。
一方で、商品の形をいつまでも独占できることにすると、後から参入する事業者との競争を強く制限することにもなります。
そのため、先に開発した事業者を守ることと、公正な競争とのバランスを取りながら、一定期間だけ保護する仕組みになっています。

遊佐陽香
そう考えると分かりやすいですね。
ただし、3年を過ぎれば、どのような商品でも自由にまねしてよいという意味ではありません。
商品のデザインが意匠権など、別の権利で保護されている場合もあります。
デッドコピーでは、他人の商品形態に依拠して、実質的に同じ形態の商品を作り、それを販売するなどの行為を押さえてください。
ここで覚えること
- デッドコピー=元の商品をそっくりそのまま模倣したような商品
- 不正競争防止法では、他人の商品形態を模倣した商品の販売などが規制される
- この規定による保護期間は、日本国内で最初に販売された日から3年間
STEP 5
限定提供データ

遊佐陽香
最後は、限定提供データです。
限定提供データは、簡単にいうと、契約した相手など、限られた相手に提供する価値のあるデータを保護する仕組みです。
保護されるためには、次の3つを押さえます。
| 要件 | 簡単にいうと |
|---|---|
| 限定提供性 | 相手を限定して提供する |
| 相当蓄積性 | 相当量のデータが蓄積されている |
| 電磁的管理性 | 特定の相手だけがアクセスできるように管理する |

遊佐陽香
まず、限定提供性ですが、相手を限定して提供することですね。

遊佐陽香
相当蓄積性は、相当の量が蓄積されていることです。

遊佐陽香
最後の電磁的管理性は、特定の人だけがアクセスできるようにデータを管理することです。

遊佐陽香
そのとおりです。
例えば、たくさんの飲食店から集めた、タコ唐などの販売動向データを考えてみましょう。
地域、曜日、時間帯ごとの販売数などを大量に集めて、契約した飲食店だけに提供するサービスにします。
Web上で提供するなら、IDとパスワードで契約者だけがアクセスできるようにする方法などがあります。

遊佐陽香
はい。
例えば、「金曜日の夕方はタコ唐がよく売れる」「この地域では冬になると注文が増える」といった情報を、仕入れや販売計画に役立てることができます。

遊佐陽香
そこまで正確に未来が分かるわけではありませんよ。
でもこのように、データを集めて、契約した相手に提供すること自体がビジネスになることがあります。

遊佐陽香
そうですね。
こうしたデータは、著作権法では保護の対象にならなかったり、相手に提供して利用してもらうことを前提としているため、営業秘密としても保護しにくかったりします。
そこで、一定の要件を満たすデータを、限定提供データとして保護する仕組みが設けられました。

遊佐陽香
そのとおりです。
限定提供データについて、不正な取得・使用・開示などが規制されています。

遊佐陽香
そうですね。
データを提供し、活用しやすくするための仕組みだと考えてください。
ここで覚えること
- 限定提供データの3要件=限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性
- 限定提供性=相手を限定して提供する
- 相当蓄積性=相当量のデータが蓄積されている
- 電磁的管理性=特定の相手だけがアクセスできるように管理する
- 特定の相手に提供して活用するデータを、不正な取得・使用・開示などから保護する仕組み
STEP 6
今日のまとめ

遊佐陽香
今回は、不正競争防止法を学習しました。
まずは、事業者間の公正な競争を守るために、不正競争を防止する法律であることを押さえましょう。
そして、「不正競争」は何となく不公平に感じる行為を指すのではなく、不正競争防止法の中で具体的に定められています。
今回詳しく見た内容を整理しましょう。
| 学習内容 | 押さえるポイント |
|---|---|
| 営業秘密 | 秘密管理性・有用性・非公知性の3要件をすべて満たす |
| ドメイン名 | 他人の商品名や店名などと同一・類似するドメイン名を、不正な目的で取得・保有・使用する行為が規制される |
| デッドコピー | 他人の商品形態をそっくり模倣した商品の販売などが規制される |
| 限定提供データ | 特定の相手に提供する情報として、電磁的方法により相当量を蓄積・管理するデータを保護する |

遊佐陽香
はい。
営業秘密では、秘密管理性・有用性・非公知性。
限定提供データでは、限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性。
この2つの3要件は、混同しないようにしてください。

遊佐陽香
はい。

遊佐陽香
その整理で大丈夫です。
そして、自分のお店を守ることと同じように、ほかのお店の情報や信用を、不正に利用しないことも大切です。

遊佐陽香
そうしてくださいね。
それでは、不正競争防止法の基本を理解できたか、確認問題で確かめてみましょう。
STEP 7
確認問題
学習完了
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