損益分岐点

損益分岐点は、売上高と費用が等しくなり、利益が0になる売上高や販売数量のことです。

最終更新日:2026年7月2日

このページで覚えること

損益分岐点では、まず次の4点を押さえることが大切です。

  • 損益分岐点は、利益が0になる売上高や販売数量である
  • 費用は、固定費と変動費に分けて考える
  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)という公式を覚える
  • 目標利益を達成するための売上高の求め方を理解する
布施香苗

布施香苗

今回は、損益分岐点について学習します。
損益分岐点は、売上高と費用が等しくなり、利益が0になる売上高や販売数量のことです。

バロン

バロン

むむむ、利益が0ということは儲かっていないということですな。
そんなもの求めてどうするのですぞ?

布施香苗

布施香苗

損益分岐点は、赤字と黒字の分かれ目となるところなので、採算ラインの分析に使われます。

バロン

バロン

なるほど。
それならとても重要そうですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
試験では、損益分岐点の意味だけでなく、損益分岐点売上高を計算する問題も出ることがあります。
まずは、売上高、費用、利益の関係から確認していきましょう。

売上高・費用・利益の関係

布施香苗

布施香苗

まずは、利益の基本式を確認しましょう。
利益は、売上高から費用を引いたものです。

バロン

バロン

売上から、かかったお金を引くのですな。

  • 利益 = 売上高 - 費用
布施香苗

布施香苗

売上高が費用を上回れば黒字になります。
反対に、費用が売上高を上回れば赤字になります。

バロン

バロン

では、売上高と費用が同じなら、利益は0ですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
その利益が0になる境目が、損益分岐点です。

ここで覚えること

  • 利益 = 売上高 - 費用
  • 売上高 > 費用 なら黒字
  • 売上高 < 費用 なら赤字
  • 売上高 = 費用 なら利益は0

固定費と変動費

布施香苗

布施香苗

損益分岐点を考えるときは、費用を固定費と変動費に分けます。

バロン

バロン

固定費と変動費ですかな?

布施香苗

布施香苗

固定費は、売上や販売数量に関係なく発生する費用です。
たとえば、店舗の家賃、設備のリース料、人件費などが当てはまります。

バロン

バロン

売れても売れなくても、毎月かかる費用ですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
一方、変動費は、売上や販売数量に応じて増減する費用です。
たとえば、材料費や仕入原価、販売手数料などが当てはまります。

バロン

バロン

売れれば売れるほど増える費用ですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
損益分岐点の計算では、この固定費と変動費の考え方がとても重要になります。

種類意味例
固定費売上や販売数量に関係なく発生する費用家賃、人件費、設備費、リース料
変動費売上や販売数量に応じて増減する費用材料費、仕入原価、販売手数料

損益分岐点とは

布施香苗

布施香苗

損益分岐点は、売上高と費用が等しくなり、利益が0になる点です。
売上高が損益分岐点を上回ると黒字になり、下回ると赤字になります。

バロン

バロン

損失と利益の分かれ目となる点だから、損益分岐点ということですな。
完璧に覚えたですぞ。

布施香苗

布施香苗

はい。
赤字になるか、黒字になるかの境目なので、事業の採算ラインを考えるときに重要です。

布施香苗

布施香苗

たとえば、売上高が損益分岐点に届かなければ赤字になります。
一方で、売上高が損益分岐点を超えれば、黒字になります。

バロン

バロン

さっき言っていた採算ラインというのは、ここを見るということですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。

ここで覚えること

  • 損益分岐点は、利益が0になる点である
  • 売上高が損益分岐点を上回ると黒字になる
  • 売上高が損益分岐点を下回ると赤字になる
  • 損益分岐点は、採算ラインを考えるときに使われる

損益分岐点の計算のイメージ

布施香苗

布施香苗

それでは、損益分岐点の計算のイメージを確認していきましょう。
まずは、損益分岐点の販売数量から考えると分かりやすいです。

布施香苗

布施香苗

たとえば、キッチンカーをレンタルして、唐揚げを販売する例を考えます。
固定費として、キッチンカーのレンタル代などが10万円かかるとします。

バロン

バロン

唐揚げなら、タコの唐揚げが良いですぞ。

布施香苗

布施香苗

では、タコの唐揚げを1パック500円で販売し、1パック当たりの変動費が300円かかるとします。
この場合、タコの唐揚げが1パックも売れなければ、固定費分の10万円がそのまま損失として残ります。

布施香苗

布施香苗

では、商品が1パック売れた場合を考えてみましょう。
販売価格は500円ですが、そのうち300円は変動費としてかかります。
1パック販売すると、いくらの儲けになるか分かりますか?

バロン

バロン

1パック500円で、費用が300円だから、200円の儲けですな。
2パック売れば400円の儲けですぞ。

布施香苗

布施香苗

その考え方で大丈夫です。
ただし、固定費分の10万円の損失があることを忘れてはいけません。
最初は10万円の赤字から始まっています。

布施香苗

布施香苗

1パック売ると、固定費を200円回収できるので、赤字は99,800円になります。
2パック売ると、400円回収できるので、赤字は99,600円になります。

バロン

バロン

なるほどですぞ。
でも、1パック当たりの儲け?
儲けと言って良いのですかな?

布施香苗

布施香苗

正確に言うのであれば、固定費の回収や、固定費を回収しきった後は利益につながる部分なので、貢献利益や限界利益といった言い方をします。

バロン

バロン

貢献利益? 限界利益?
急に難しいですぞ。

布施香苗

布施香苗

今回は、1パック当たりの儲けと考えても差し支えありません。
それでは次に、いくつ売れば赤字が0になるかを考えます。

バロン

バロン

10万円の赤字を、1パックごとに200円ずつ減らしていくのですな。
99,800円、99,600円、99,400円……98,000円……。
指が足りないですぞ。

布施香苗

布施香苗

……バロン君にも指はあったんですね。

布施香苗

布施香苗

コホン。ここは計算で求めましょう。
ここでは、10万円の中に200円がいくつ含まれているかを計算しますので、100,000円 ÷ 200円で求めることができます。

バロン

バロン

むむむ。
割り算というと、均等に分けるときの計算というイメージがありますぞ。

布施香苗

布施香苗

割り算には、均等に分ける計算だけでなく、「いくつ含まれているか」を求める使い方もあります。
今回は、10万円の中に200円が何個分あるかを求めます。

バロン

バロン

なるほどですぞ。
ということは、100,000円 ÷ 200円で、500パックですな。

布施香苗

布施香苗

はい、正解です。
つまり、この例では500パック売ると、固定費10万円を回収でき、利益が0になります。

バロン

バロン

500パックが、損益分岐点の販売数量ということですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。

販売数量固定費を回収できる金額損益
0パック0円-100,000円
1パック200円-99,800円
2パック400円-99,600円
500パック100,000円0円

ここで覚えること

  • 1個当たりの販売価格から、1個当たりの変動費を引く
  • その差額が、固定費を回収するために使える金額になる
  • 固定費 ÷ 1個当たりの差額で、損益分岐点の販売数量を求められる

損益分岐点売上高

布施香苗

布施香苗

先ほどは、損益分岐点の販売数量を求めました。
ただ、実際の試験では、損益分岐点売上高を求める問題もよく出ます。

バロン

バロン

販売数量ではなく、売上高を求めるのですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
損益分岐点売上高は、公式を使うと求めやすくなります。

バロン

バロン

公式があるのは便利ですが、覚えられる気がしませんぞ。

布施香苗

布施香苗

そうですね。
いきなり公式を丸暗記するのではなく、先ほどの販売数量の考え方とつなげて理解しましょう。

布施香苗

布施香苗

先ほどは、固定費10万円を、1パック当たり200円ずつ回収していきました。
つまり、「固定費 ÷ 1パック当たりの儲けにつながる部分」で計算しました。

バロン

バロン

100,000円 ÷ 200円で、500パックでしたな。

布施香苗

布施香苗

はい。
損益分岐点売上高では、これを「1円当たりの儲けにつながる部分」で考えます。

バロン

バロン

1円当たりの儲け、ですかな?

布施香苗

布施香苗

たとえば、売上1円のうち、変動費が0.6円かかるとします。
この場合、残りの0.4円が固定費の回収や利益につながる部分です。

バロン

バロン

1円売り上げるたびに、0.4円ずつ固定費を回収していくイメージですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
この「1円当たり、固定費の回収や利益に使える割合」が限界利益率です。

バロン

バロン

売上1円のうち、変動費として出ていかない部分ですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
変動費率が60%なら、儲けにつながる部分は40%です。
式で書くと、1-変動費率になります。
もし、1-変動費率と覚えた方が簡単と感じる場合は、限界利益率は無理に覚えなくても大丈夫です。

  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
  • 限界利益率 = 1 - 変動費率
  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)
バロン

バロン

なるほど。
固定費を、1円当たりの儲けにつながる割合で割るのですな。

損益分岐点売上高の計算例

布施香苗

布施香苗

では、損益分岐点売上高を実際に計算してみましょう。
固定費が100万円、変動費率が60%だとします。

バロン

バロン

先ほどの話でいうと、売上1円のうち0.6円が変動費として出ていくということですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
残る部分は1-0.6で0.4、儲けにつながる部分は40%です。

バロン

バロン

売上1円のうち、0.4円が固定費の回収や利益に使える部分ですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
損益分岐点売上高は、固定費を1-変動費率で割って求めます。
限界利益率という言葉に抵抗がなければ、固定費 ÷ 限界利益率と覚えてください。

  • 100万円 ÷ 0.4 = 250万円
バロン

バロン

つまり、250万円売り上げると、固定費100万円をちょうど回収できるのですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
この場合、損益分岐点売上高は250万円です。
売上高が250万円になると、利益が0になります。

項目数値
固定費100万円
変動費率60%
限界利益率40%
損益分岐点売上高250万円

目標利益を達成するための売上高

布施香苗

布施香苗

ここまでは、利益が0になる売上高を考えてきました。
ただし、実際には「利益が0ならよい」というわけではありません。

バロン

バロン

たしかにですぞ。
せっかく商売をするなら、利益を出したいですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
そこで、目標とする利益を達成するためには、どれくらいの売上高が必要かを考えることがあります。

バロン

バロン

損益分岐点より、さらに上を目指すということですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
目標利益を達成するための売上高は、次の式で求めます。

  • 目標利益売上高 =(固定費 + 目標利益)÷(1-変動費率)
バロン

バロン

固定費だけでなく、目標利益も足してから割るのですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
損益分岐点売上高では、固定費を回収できれば利益は0になります。
しかし、目標利益を達成したい場合は、固定費に加えて、その目標利益の分も回収する必要があります。

バロン

バロン

なるほど。
固定費だけなら利益0、固定費に目標利益を足せば、目標利益を出すための売上高になるのですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
たとえば、固定費が100万円、目標利益が20万円、変動費率が60%だとします。

  • 目標利益売上高 =(100万円 + 20万円)÷(1-0.6)
  • 目標利益売上高 = 120万円 ÷ 0.4
  • 目標利益売上高 = 300万円
バロン

バロン

300万円売り上げれば、20万円の利益を目指せるということですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
先ほどの損益分岐点売上高は250万円でした。
そこからさらに50万円売上を増やすことで、20万円の利益を達成できる計算になります。

項目数値
固定費100万円
目標利益20万円
変動費率60%
1-変動費率40%
目標利益売上高300万円

損益分岐点を超えるとどうなるか

布施香苗

布施香苗

先ほどの例では、損益分岐点売上高は250万円でした。
では、売上高が300万円になった場合を考えてみましょう。

バロン

バロン

損益分岐点を超えているので、黒字になりそうですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
変動費率が60%なので、売上高300万円の変動費は180万円です。
固定費100万円を足すと、総費用は280万円になります。

バロン

バロン

売上高300万円から費用280万円を引くと、利益は20万円ですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
損益分岐点を超えた分が、利益につながっていきます。

売上高変動費固定費総費用利益
250万円150万円100万円250万円0円
300万円180万円100万円280万円20万円
バロン

バロン

損益分岐点を超えると、そこから先は黒字になっていくのですな。

布施香苗

布施香苗

はい。
そのため、損益分岐点は、どれくらい売上を上げれば採算が取れるのかを考えるときに役立ちます。

今日のまとめ

布施香苗

布施香苗

今日の内容を、試験対策として整理します。
損益分岐点は、売上高と費用が等しくなり、利益が0になる売上高や販売数量のことです。

バロン

バロン

赤字と黒字の分かれ目でしたな。

布施香苗

布施香苗

はい。
損益分岐点を考えるときは、費用を固定費と変動費に分けて考えます。

バロン

バロン

固定費は売れても売れなくてもかかる費用。
変動費は売上や販売数量に応じて増える費用ですな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
また、販売数量で考える場合は、固定費を1個当たりの儲けにつながる部分で割って求めます。

バロン

バロン

タコの唐揚げの例だと、10万円 ÷ 200円で500パックでしたな。

布施香苗

布施香苗

はい。
損益分岐点売上高を求める場合は、固定費を1-変動費率で割って求めます。

バロン

バロン

そして、目標利益を出したい場合は、固定費に目標利益を足してから割るのでしたな。

布施香苗

布施香苗

その通りです。
試験では、意味だけでなく計算問題として出ることもあるので、式と考え方をセットで押さえておきましょう。

おさらいポイント

  • 損益分岐点は、利益が0になる売上高や販売数量である。
  • 損益分岐点は、赤字と黒字の分かれ目である。
  • 利益 = 売上高 - 費用。
  • 固定費は、売上や販売数量に関係なく発生する費用である。
  • 変動費は、売上や販売数量に応じて増減する費用である。
  • 1個当たりの販売価格から1個当たりの変動費を引くと、固定費の回収や利益につながる部分が分かる。
  • 損益分岐点の販売数量 = 固定費 ÷ 1個当たりの固定費回収に使える金額。
  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)。
  • 目標利益売上高 =(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)。
  • 売上高が損益分岐点を上回ると黒字、下回ると赤字になる。

確認問題

問1 損益分岐点とは、どのような点ですか?
問2 売上や販売数量に関係なく発生する費用を何といいますか?
問3 固定費が12万円、商品1個当たりの販売価格が800円、1個当たりの変動費が500円のとき、損益分岐点の販売数量はいくつですか?
問4 固定費が120万円、変動費率が40%のとき、損益分岐点売上高はいくらですか?
問5 固定費が90万円、目標利益が30万円、変動費率が50%のとき、目標利益を達成するために必要な売上高はいくらですか?