データ基盤の基本
データ基盤は、さまざまな場所にあるデータを集め、蓄積・加工して、分析や活用を支える仕組みです。データウェアハウス、データマート、データレイクの役割と、データの取り込み・加工を行うETL・ELTについて学習します。
最終更新日:2026年10月26日
このページで覚えること
このページでは、次の3点を押さえます。
- データ基盤の役割と、データを分析・活用するまでのつながり
- データウェアハウス・データマート・データレイクの違い
- ETL・ELTの処理内容と、順序の違い
導入トーク

布施香苗
今回は、データ基盤について学習します。

布施香苗
会社にあるさまざまなデータを、分析したり活用したりするための土台のことです。

布施香苗
データベースとデータ基盤は、役割が異なります。
データベースは、業務システムなどで必要となるデータを管理するための仕組みです。
例えば、販売システムなら、商品や注文、売上などのデータを保存し、必要に応じて登録・検索・更新します。

布施香苗
そうですね。
一方、データ基盤は、社内のさまざまなシステムやデータベース、社外の情報などからデータを集め、蓄積・加工して、分析や活用につなげるための仕組みです。

布施香苗
その理解で大丈夫です。
今回は、データ基盤で使われるデータウェアハウス、データマート、データレイクなどについて学習していきます。
STEP 1
データ基盤の役割

布施香苗
まずは、データ基盤の基本について、具体例を交えながら解説しますね。

布施香苗
例えば、複数の店舗とネット通販で商品を販売している会社を考えてみましょう。
この会社では、店舗やネット通販の売上、倉庫の在庫などを、それぞれ別のシステムで管理しています。
さらに、ネット通販のアクセス履歴、お客様からの問い合わせ、SNSに投稿された商品の評判などもあります。

布施香苗
はい。
ここで、ある商品の売上が最近落ちている理由を調べて、来月の販売計画を考えたいとします。
売上だけを見ても、理由までは分からないかもしれません。
そこで、店舗やネット通販の売上だけでなく、在庫、Webサイトへのアクセス、お客様からの問い合わせ、SNSでの反応など、さまざまなデータを集めて分析します。

布施香苗
そうです。
しかも、それぞれ別の場所にあり、データの形式も同じとは限りません。
そのため、必要なデータを集めて蓄積し、分析に使えるように整える必要があります。

布施香苗
そのとおりです。
こうした、データの収集・蓄積・加工から、分析や活用までを支える仕組みが、データ基盤です。
データ基盤がどのような役割を支えているのか、流れに沿って整理してみましょう。
| 役割 | 内容 | 販売会社の例 |
|---|---|---|
| データ収集 | さまざまな場所から必要なデータを集める | 売上、在庫、アクセス履歴、問い合わせ、SNSの反応などを集める |
| データ蓄積 | 集めたデータを保存する | 数値や文章など、集めたデータを後から利用できるように保存する |
| データ加工 | 分析に使いやすい形に整える | 必要なデータを取り出したり、集計できる形に加工したりする |
| 分析・可視化 | データを集計・比較し、傾向や特徴を分かりやすくする | 売上の変化とアクセス数、問い合わせ内容などを比較し、グラフなどで確認する |

布施香苗
はい。
そして、分析した結果を、仕入れや販売計画の見直しなどに生かしていきます。
例えば、売上が落ちていても、Webサイトへのアクセスは増えているなら、「商品に興味は持たれているけれど、購入にはつながっていないのではないか」と考えることができます。
問い合わせやSNSの反応も合わせて見れば、その理由を探る手掛かりになりますね。

布施香苗
そのとおりです。
データをためること自体が目的ではなく、さまざまなデータを分析し、業務の改善や意思決定に役立てることが大切です。

布施香苗
良い整理です。
ここからは、データ基盤の中核となるデータウェアハウス、データマート、データレイクについて、順番に見ていきましょう。
ここで覚えること
- データ基盤=データの収集・蓄積・加工から、分析や活用までを支える仕組み。
- データ基盤では、収集・蓄積・加工・分析・可視化といった処理を通して、さまざまなデータを活用できるようにする。
- 異なる場所や形式のデータを組み合わせて分析し、業務の改善や意思決定に結び付けることが重要。
STEP 2
データウェアハウス

布施香苗
まずは、データウェアハウスから見ていきましょう。
データウェアハウスは、英語では「Data Warehouse」、略してDWHと呼ばれます。
Warehouseは「倉庫」という意味ですね。

布施香苗
そうですね。
データウェアハウスは、企業活動で生じるさまざまなデータを整理・統合し、時系列に蓄積して、経営の意思決定支援などに利用するための仕組みです。

布施香苗
簡単にいえば、会社がこれからどうするかを決めるために、データを役立てることです。
例えば、これまでの売上を分析して、
「来月はどの商品を多く仕入れるか」
「どの商品に力を入れて販売するか」
といった判断に役立てます。

布施香苗
そのとおりです。
例えば、店舗やネット通販の売上などを長期間にわたって蓄積しておけば、商品別、店舗別、期間別など、さまざまな角度から分析できます。

布施香苗
そもそも、データベースとデータウェアハウスでは、データを保存する目的が異なります。
例えば、販売システムのデータベースでは、注文を登録したり、在庫数を更新したりするなど、日々の業務に合わせてデータが変化します。
これらを正確に管理することがデータベースの目的です。
一方、データウェアハウスは、さまざまなデータを蓄積して分析することが目的です。
過去のデータも分析に利用するため、業務用データベースのように頻繁に更新・削除するのではなく、新しいデータを追加しながら、時系列で蓄積していくのが基本です。

布施香苗
はい。その理解で大丈夫です。
例えば、売上のデータだけを見ていても、「なぜ売上が増えたのか、減ったのか」までは分からないことがあります。
そこでデータウェアハウスには、売上だけでなく、在庫や在庫切れの状況、気温や天気、クレームの種類や件数など、分析に利用するさまざまなデータを蓄積しておきます。

布施香苗
そうですね。
例えば、「雨の日にはこの商品の売上が伸びる」「気温が高くなると別の商品が売れ始める」といった関係が見つかるかもしれません。
また、売上が落ちた時期に在庫切れが多かったり、クレームが増えていたりすれば、それも原因を考える手掛かりになります。

布施香苗
そのとおりです。
経営上、どのような判断が必要になるかは、そのときの状況によって変わります。
そのためデータウェアハウスでは、企業活動に関わるさまざまなデータを整理・統合し、過去から時系列で蓄積しておき、必要に応じてさまざまな角度から分析できるようにします。
こうして得られた分析結果を、販売計画や仕入れ、経営方針などの判断に役立てていきます。
違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 業務用データベース | データウェアハウス |
|---|---|---|
| 主な目的 | 日々の業務処理 | 分析・経営の意思決定支援 |
| 扱うデータ | その業務に必要なデータが中心 | さまざまなシステムや外部から集め、整理・統合したデータ |
| 蓄積方法 | 業務に応じて登録・更新・削除する | 過去の履歴を残し、時系列で追加・蓄積するのが基本 |
| 利用例 | 注文登録、在庫更新 | 売上と天候、在庫切れなどを組み合わせた分析 |

布施香苗
そうですね。
業務用データベースでも分析はできますが、データウェアハウスは、さまざまなデータをまとめて、分析や経営の意思決定に役立てることを重視した仕組みです。
ここで覚えること
- データウェアハウス(DWH)=企業活動で生じるさまざまなデータを整理・統合し、時系列に蓄積して、経営の意思決定支援などに利用する仕組み。
- 過去のデータを残すため、新しいデータを追加しながら時系列で蓄積していくのが基本。
- 業務用データベースは日々の業務処理が中心、DWHはさまざまなデータの分析が中心。
- 売上だけでなく、天候、在庫切れ、クレームなども組み合わせて分析できる。
STEP 3
データマート

布施香苗
続いて、データマートについて見ていきましょう。
データマートは、特定の部門や利用目的に合わせて、必要なデータを整理した、分析用のデータのまとまりです。

布施香苗
データウェアハウスは、企業全体で利用するさまざまなデータを蓄積します。
しかし、実際に分析する際には、そのすべてが必要とは限りません。
例えば、販売部門では売上に関するデータを詳しく調べたいでしょうし、仕入部門では販売数量や在庫量などが重要になります。
そこで、部門や目的に応じて、必要なデータを使いやすくまとめたものがデータマートです。

布施香苗
そうですね。
代表的な方法として、データウェアハウスに蓄積されたデータから、部門ごとに必要なものを取り出してデータマートを作ります。
例えば、次のようになります。
| データマート | 主に利用するデータ | 分析の例 |
|---|---|---|
| 販売部門向け | 店舗別・商品別・月別の売上 | どの商品がどの店舗でよく売れているか |
| 仕入部門向け | 販売数量・在庫量・仕入実績 | どの商品をどれだけ仕入れる必要があるか |
| マーケティング部門向け | 売上・広告実績・顧客の購買傾向 | 広告や販売促進の効果 |

布施香苗
そのとおりです。
データウェアハウスが幅広いデータを蓄積するのに対し、データマートは特定の部門や目的に絞って利用しやすくすることが特徴です。

布施香苗
いいえ。データウェアハウスから必要なデータを取り出す方法が代表的ですが、業務システムなどから直接データを集めて作る場合もあります。
大切なのは、どこからデータを集めるかよりも、特定の部門や目的に合わせた分析用のデータであることです。

布施香苗
はい。その違いを押さえておきましょう。
ここで覚えること
- データマート=特定の部門や利用目的に合わせて、必要なデータを整理した分析用のデータのまとまり。
- データウェアハウスから必要なデータを取り出して作るのが代表的。
- 業務システムなどから直接データを集めて作る場合もある。
- データウェアハウスは幅広いデータ、データマートは部門・目的別のデータという違いを押さえる。
STEP 4
データレイク

布施香苗
続いて、データレイクについて見ていきましょう。
データレイクは、英語では「Data Lake」です。
Lakeは「湖」という意味ですね。

布施香苗
はい。
さまざまなデータが川のように流れ込み、元の形に近い状態のまま湖にたまっていくイメージです。
データレイクは、さまざまな形式のデータを、元の形式のまま大量に蓄積できる仕組みです。

布施香苗
例えば、売上データのように表形式で整理されたものもあれば、問い合わせの文章、商品画像、音声、動画などもあります。
こうしたデータは、大きく次のように分けられます。
| 種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 構造化データ | 項目や形式が決まっていて、表などで整理できるデータ | 売上日、商品コード、数量、金額 |
| 非構造化データ | 表のような決まった形式では整理しにくいデータ | 文章、画像、音声、動画 |

布施香苗
そうです。
データウェアハウスでは、分析しやすいようにデータを整理・統合して蓄積します。
一方、データレイクでは、将来どのような分析に使うか決まっていないデータも含めて、元の形式のまま蓄積できるのが特徴です。
そのため、最初からすべてのデータを共通の表形式に加工しておく必要はありません。

布施香苗
そのとおりです。
例えば、今は売上データだけを分析していても、後からお客様の問い合わせ文章や商品画像などを分析に利用したくなるかもしれません。
データレイクに元のデータを残しておけば、そのときの目的に合わせて必要なデータを取り出し、加工して利用できます。
ここで、データウェアハウスとの違いを整理してみましょう。
| 比較項目 | データウェアハウス | データレイク |
|---|---|---|
| 主な目的 | 整理・統合されたデータの分析 | 多様なデータの蓄積と幅広い活用 |
| データの形式 | 分析しやすい形に整理・統合したデータ | 元の形式のままの多様なデータ |
| 加工のタイミング | 主に蓄積する前に整理・統合する | 蓄積後に必要に応じて加工できる |
| 利用例 | 売上・在庫・天候などを組み合わせた分析 | 売上データ、アクセス履歴、文章、画像、音声などの保存 |

布施香苗
はい。
ただし、「何でもためておけばよい」というわけではありません。
管理せずに大量のデータをため続けると、何のデータなのか分からなくなったり、必要なデータを見つけられなくなったりすることがあります。

布施香苗
そうですね。
このように、管理されないデータがたまり、活用することが難しくなった状態を、データスワンプ(Data Swamp)と呼ぶことがあります。
Swampは「沼」という意味です。

布施香苗
そのとおりです。
そのためデータレイクでは、データの内容や出所などを管理し、必要なデータを見つけて利用できるようにしておくことが大切です。
ここで覚えること
- データレイク=さまざまな形式のデータを、元の形式のまま大量に蓄積できる仕組み。
- 構造化データだけでなく、文章・画像・音声などの非構造化データも蓄積できる。
- 将来の利用目的が決まっていないデータも保存し、必要に応じて加工・分析できる。
- 管理が不十分でデータを活用しにくくなった状態を、データスワンプと呼ぶことがある。
STEP 5
ETLとELT

布施香苗
ここまで、データウェアハウス、データマート、データレイクについて見てきました。
次は、さまざまな場所にあるデータを集めて、利用できる形に整える方法について見ていきましょう。
代表的な方法が、ETLとELTです。

布施香苗
違うのは、データを加工するタイミングです。
まずETLは、次の順に処理します。
| 順序 | 英語 | 内容 |
|---|---|---|
| E | Extract | 抽出 |
| T | Transform | 変換 |
| L | Load | 格納 |

布施香苗
つまり、
ETL:抽出 → 変換 → 格納
という順序になります。
元のシステムからデータを取り出し、分析に使える形に加工してから、データウェアハウスなどに格納します。

布施香苗
そのとおりです。
従来は、このETLがよく使われてきました。
一方、ELTでは、TとLの順序が入れ替わります。
ELT:抽出 → 格納 → 変換
まずデータをデータウェアハウスやデータレイクに格納して、その後で必要に応じて加工します。

布施香苗
最近は、クラウド上のデータウェアハウスなどが、大量のデータを保存し、高速に処理できるようになってきたからです。
そのため、最初からすべてを加工しておかなくても、まずデータを格納しておき、必要になったときに、その中で加工できるようになりました。

布施香苗
はい。
さらに、ELTでは加工前のデータを残しておくことができるため、あとから別の分析に使いたくなったときにも、違う方法で加工し直しやすいという特徴があります。
例えば、最初は売上分析のために使っていたデータを、後から在庫分析や顧客行動の分析にも使いたくなった場合、新しい目的に合わせて加工できます。

布施香苗
そうですね。
ただし、ETLが古くてELTが新しいから、必ずELTを使うというわけではありません。
扱うデータの種類や量、利用するシステム、必要な処理によって、ETLとELTを使い分けます。
違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | ETL | ELT |
|---|---|---|
| 処理順序 | 抽出 → 変換 → 格納 | 抽出 → 格納 → 変換 |
| 変換のタイミング | 格納する前 | 格納した後 |
| 特徴 | 整えたデータを格納する | まず格納し、必要に応じて加工する |
| 利用イメージ | 従来型のDWHなど | クラウド型DWH、データレイクなど |

布施香苗
そのとおりです。
特に試験では、ETLは変換してから格納、ELTは格納してから変換という順序を押さえておきましょう。
ここで覚えること
- ETL=Extract → Transform → Load。抽出・変換・格納の順に処理する。
- ELT=Extract → Load → Transform。抽出・格納・変換の順に処理する。
- 従来はETLが多く使われてきたが、クラウド型DWHなどの処理能力が高まり、ELTも広く利用されるようになっている。
- ELTは、加工前のデータを残しておけば、後から目的に応じて加工し直しやすい。
- ETLとELTは、利用するシステムや目的に応じて使い分ける。
STEP 6
まとめ

布施香苗
それでは、今回学習した内容を整理してみましょう。
データ基盤は、さまざまな場所にあるデータを収集・蓄積・加工し、分析や業務での活用を支える仕組みでしたね。

布施香苗
そのとおりです。
そして、データ基盤で使われる主な仕組みには、それぞれ異なる特徴があります。
| 用語 | 重要な特徴 |
|---|---|
| データウェアハウス(DWH) | 企業活動で生じるさまざまなデータを整理・統合し、時系列に蓄積して、経営の意思決定支援に利用する |
| データマート | 特定の部門や利用目的に合わせ、必要なデータを使いやすくまとめる |
| データレイク | 多様な形式のデータを、元の形式のまま大量に蓄積する |
| ETL | 抽出 → 変換 → 格納 |
| ELT | 抽出 → 格納 → 変換 |

布施香苗
いいえ。必ずすべてを使う必要はありません。
どのようなデータを扱い、何のために利用するかによって、必要な仕組みを組み合わせます。
例えば、データレイクに蓄積したデータの一部を加工してデータウェアハウスに取り込み、さらに販売部門向けのデータマートを作る、といった構成も考えられます。
しかし、すべてのデータが必ずこの順番を通るわけではありません。

布施香苗
そのとおりです。
特に、どのようなデータを、何のために蓄積するのか、そして、いつ加工して利用できる形にするのかを意識すると、それぞれの違いが整理しやすくなります。
それでは、確認問題で理解度を確かめてみましょう。
STEP 7
確認問題
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