監査の種類
監査は、企業の業務や財務情報などについて、一定の基準に照らし、独立かつ客観的な立場から検証・評価することです。ここでは、監査の対象、法令による実施義務の有無、監査の主体という3つの観点から、監査の種類を整理します。
最終更新日:2026年10月29日
このページで覚えること
このページでは、次の3点を押さえます。
- 監査の目的と、独立かつ客観的な立場で行うことの重要性
- 会計監査、業務監査、システム監査、情報セキュリティ監査の違い
- 法定監査と任意監査、内部監査と外部監査の違い
導入トーク

葛城涼子
今回は、監査の種類について学習します。

葛城涼子
監査は、国語辞典などでは「監督し、検査すること」と説明されることもあります。

葛城涼子
ただ、今回特に覚えてほしいのは、対象から独立した立場の第三者が、検証・評価するという点です。

葛城涼子
そのとおりです。
ただ、監査といっても、いろいろな種類がありますので注意してください。

葛城涼子
会計監査、業務監査、システム監査、情報セキュリティ監査などがあります。
会社の財務情報や仕事の進め方、情報システム、情報の守り方など、さまざまなものが対象になります。

葛城涼子
はい。さらに、法律で義務付けられているか、誰が主体となって行うかという分け方もあります。
今回は、こうした分類の仕方と、それぞれの監査の特徴を整理していきましょう。
STEP 1
監査とは何か

葛城涼子
監査とは、企業の業務や財務情報などが適切であるかを、一定の基準に照らして、独立かつ客観的な立場から検証・評価することです。

葛城涼子
監査の目的に応じて、法令や社内規程、各種の基準などを判断のものさしにします。
そして、記録や書類を調べたり、担当者に話を聞いたりして、判断の根拠となる証拠を集めます。

葛城涼子
そうですね。監査を行う人の思い込みや、担当者の説明だけで結論を出すのではなく、証拠に基づいて判断することが大切です。
また、監査される側の都合に左右されず、公正に判断できる立場で行う必要があります。

葛城涼子
それも目的の一つです。間違いや不正の発見につながることもありますが、それだけが監査の役割ではありません。

葛城涼子
適切に行われているかを確かめて信頼性を高めたり、改善に役立つ意見や助言を伝えたりする役割もあります。

葛城涼子
そのとおりです。
では、監査にはどのような種類があるのか、まずは監査対象による分類から見ていきましょう。
ここで覚えること
- 監査は、一定の基準と証拠に基づいて、対象を検証・評価する。
- 監査では、独立かつ客観的な立場で判断することが重要。
- 監査には、信頼性の向上や改善につなげる役割がある。
STEP 2
監査対象による分類

葛城涼子
監査対象による分類は、「何を監査するのか」という分け方です。
ここでは、会計監査、業務監査、システム監査、情報セキュリティ監査の4種類を学習します。

葛城涼子
会計監査は、会計処理や財務諸表などを対象とする監査です。
特に、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表が、企業の財政状態や経営成績を適正に表しているかを検証します。

葛城涼子
はい。
例えば、実際の取引に基づいて売上や費用が記録され、財務諸表に適切に反映されているかなどを確かめます。

葛城涼子
業務監査は、購買、販売、生産などの業務活動を対象とする監査です。
業務が法令や社内の規則・方針に従い、合理的かつ効率的に行われているかなどを検証・評価します。

葛城涼子
そうですね。内部統制は、業務を適切に行うための仕組みを整え、その働きを確認する取り組みです。
業務監査では、業務の進め方や内部統制の仕組みが適切かを、独立した立場から評価します。

葛城涼子
例えば、仕入れの際に必要な承認を受けているか、無駄な発注が繰り返されていないかなどを調べます。
また、改善した方がよい点があれば、助言することもあります。

葛城涼子
次は、システム監査です。
システム監査は、情報システムの開発・運用・利用や、それらの管理の仕組みなどを対象とする監査です。

葛城涼子
情報システムに関するリスクに適切に対応しているか、組織の目的に役立つようにシステムを管理・活用しているかなどを検証・評価します。

葛城涼子
それも対象になりますが、今動いているシステムだけではありません。
これから開発するシステムについても、開発計画や開発の進め方が適切かなどを監査します。

葛城涼子
続いて、情報セキュリティ監査です。
情報セキュリティ監査は、情報資産を守るための管理の仕組みや対策などを対象とする監査です。

葛城涼子
情報セキュリティに関するリスクが適切に管理され、必要な対策が整備・運用されているかを検証・評価します。

葛城涼子
情報資産とは、顧客情報や契約書など、会社にとって大切な情報のことです。
コンピュータに保存された電子データだけでなく、紙の書類なども含まれます。

葛城涼子
はい。例えば、顧客情報へのアクセス権限が適切に設定されているか、機密書類が適切に保管されているか、従業員への教育が行われているかなどを確かめます。

葛城涼子
はい。システム監査でもセキュリティを扱うなど、監査の対象には重なる部分があります。
それぞれが何に重点を置く監査なのかを整理しておきましょう。
| 監査の種類 | 主な対象・着眼点 |
|---|---|
| 会計監査 | 会計処理や財務諸表などが適切か |
| 業務監査 | 業務が法令や社内の規則・方針に従い、合理的・効率的に行われているか |
| システム監査 | 情報システムに関するリスクへの対応や、管理・活用が適切か |
| 情報セキュリティ監査 | 情報資産を守るためのリスク管理や対策が適切か |
STEP 3
法律上の義務による分類

葛城涼子
次は、「法令によって実施が義務付けられているか」という分け方です。
この観点では、法定監査と任意監査に分けられます。

葛城涼子
法定監査は、法令に基づいて実施が義務付けられている監査です。
例えば、一定の企業に義務付けられる、会社法や金融商品取引法に基づく会計監査があります。

葛城涼子
はい。法令で定められた対象に該当する場合には、監査が義務付けられます。

葛城涼子
一方、任意監査は、法令による実施義務がなくても、組織の判断などで行う監査です。
例えば、会計監査を受ける法的義務がない会社が、財務諸表の信頼性を高めるために、自主的に会計監査を受ける場合です。

葛城涼子
そのとおりです。
会計監査は「何を対象にするか」、法定監査と任意監査は「法令による実施義務があるか」という、別の観点による分類です。

葛城涼子
はい。その違いが大切です。
なお、任意監査であっても、基準や証拠に基づいて適切に実施する必要があります。
ここで覚えること
- 法定監査:法令に基づいて実施が義務付けられている監査。
- 任意監査:法令による実施義務がなくても、組織の判断などで行う監査。
- この分類は、監査対象による分類とは別の観点。
STEP 4
監査の主体による分類

葛城涼子
最後は、「誰が主体となって監査を行うのか」という分け方です。
基本として、内部監査と外部監査の2種類を押さえましょう。

葛城涼子
内部監査は、組織自身が行う監査活動で、通常は社内の監査部門などが実施します。
業務や管理の仕組みに問題がないかを確かめ、経営上の問題の発見や改善に役立てることが主な目的です。

葛城涼子
例えば、社内の監査部門が、購買部門の発注手続を調べ、問題があれば改善を求めるといった場合です。

葛城涼子
はい。会社の中にいても、監査される部門から独立し、客観的に評価できる体制を整えます。
例えば、自分が担当している業務を自分で監査したり、監査される部門の責任者が監査結果を都合よく変えさせたりすることは、独立性や客観性を損ないます。

葛城涼子
そのとおりです。社内の人間だからといって、問題を見逃したり、甘い評価をしたりしてはいけません。

葛城涼子
内部監査でも、基準や証拠に基づいて、公正に判断することが大切です。

葛城涼子
一方、外部監査は、組織から独立した外部の監査人や監査機関などが行う監査です。
例えば、外部の公認会計士や監査法人による会計監査があります。

葛城涼子
そうですね。費用はかかりますが、専門的な知識や経験を活用でき、社外の視点から評価してもらえるというメリットがあります。

葛城涼子
また、会社法や金融商品取引法に基づく法定の会計監査では、独立した公認会計士や監査法人による監査が必要です。

葛城涼子
はい。また、外部の公認会計士などが財務諸表を監査することで、株主や投資家も、その内容をより信頼して利用できるようになります。

葛城涼子
なお、内部監査の一部を外部の専門家に委託する場合もあります。
外部の人が関わったという理由だけで、外部監査になるわけではありません。

葛城涼子
内部監査は、組織自身が主体となって行い、業務や管理体制の改善などに役立てる監査活動です。

葛城涼子
一方、外部監査は、組織から独立した第三者が主体となって検証・評価し、その結果を示す監査です。

葛城涼子
そのとおりです。
これで、監査の3つの分類を一通り学習しました。最後にまとめておきましょう。
ここで覚えること
- 内部監査:組織自身が主体となって行う監査。業務や管理体制の評価・改善などに役立てる。
- 外部監査:組織から独立した外部の監査人などが主体となって行う監査。第三者の立場から検証・評価する。
- 内部監査でも、監査対象からの独立性と客観性が必要。
- 内部監査の一部を外部委託しても、必ずしも外部監査になるわけではない。
STEP 5
今日のまとめ

葛城涼子
今回学習した監査の種類を、3つの観点で整理しましょう。
| 分類の観点 | 着目すること | 監査の種類 |
|---|---|---|
| 監査対象 | 何を監査するか | 会計監査、業務監査、システム監査、情報セキュリティ監査 |
| 法律上の義務 | 法令による実施義務があるか | 法定監査、任意監査 |
| 監査の主体 | 誰が主体となって監査するか | 内部監査、外部監査 |

葛城涼子
はい。では、具体例で確認してみましょう。
ある会社が、法律で義務付けられた財務諸表の監査を、外部の公認会計士から受けています。この監査は、どのように分類できますか?

葛城涼子
そのとおりです。
一つの監査が、異なる観点から複数の種類に当てはまります。

葛城涼子
はい。そして、どの監査でも、独立かつ客観的な立場で、基準と証拠に基づいて判断することが大切です。
それでは、確認問題に進みましょう。
STEP 6
確認問題
学習完了
葛城涼子コイン × 1 を獲得できます。
確認問題に全問正解すると、講師コインを獲得できます。
未ログイン中のコインは、このブラウザに一時保存されます。無料登録またはログイン後に、アカウントへ反映できます。




