経営戦略
経営戦略は、企業が目標を達成するために、どのような事業を展開し、競争していくのかという方向性を定めるものです。ここでは、アンゾフの成長マトリクスやポーターの3つの基本戦略、コトラーの競争地位別戦略など、代表的な経営戦略について学習します。
最終更新日:2026年8月22日
このページで覚えること
このページでは、次の12点を押さえます。
- アンゾフの成長マトリクスは、製品と市場をそれぞれ「既存」と「新規」に分け、4つの成長戦略に分類する
- 既存製品と既存市場の組合せを、市場浸透戦略という
- 新製品と新市場の組合せを、多角化戦略という
- コストリーダーシップ戦略は、競合他社より低いコストを実現して競争優位を得る戦略
- 差別化戦略は、競合他社とは異なる独自の価値を提供する戦略
- 集中戦略は、特定の市場や顧客層に経営資源を集中する戦略
- 競争地位には、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つがある
- リーダーは、すべての顧客をターゲットにする全方位戦略や、差別化の効果を弱める同質化戦略を採用する
- チャレンジャーは、リーダー企業との違いを打ち出す差別化戦略を採用する
- フォロワーは、成功している企業の戦略を参考にする模倣戦略を採用する
- ニッチャーは、小さな市場に経営資源を集中するニッチ戦略を採用する
- ブルーオーシャン戦略は、競争の激しい既存市場から離れ、新しい市場を創造する戦略
導入トーク

清家奈津子
今回は経営戦略について解説します。

清家奈津子
といっても、経営戦略の策定の仕方ではなく、経営戦略に関する知識や用語の解説なので安心してください。

清家奈津子
今回は、経営戦略の中でも、どうやって事業を成長させるかという成長戦略と、どうやってライバルに打ち勝つかという競争戦略を中心に学習します。

清家奈津子
どちらも重要です。
試験対策の上でも両方重要ですね。

清家奈津子
そうですね。
まず、成長戦略としては、アンゾフの成長マトリクスを押さえたいですね。
競争戦略としては、ポーターが提唱した3つの基本戦略と、コトラーの競争地位別戦略は押さえたいです。
他にもブルーオーシャン戦略は押さえたいですね。

清家奈津子
一つずつ整理すれば、それほど難しくありませんよ。
たとえば、経営戦略には、「企業戦略」「事業戦略」「機能戦略」というように、階層に分けて考えることがあります。

清家奈津子
企業戦略は、会社全体としてどの事業に取り組むかを考える戦略で、全社戦略とも言います。
事業戦略は、それぞれの事業でどう競争するかを考える戦略です。
機能戦略は、営業、マーケティング、生産、人事など、それぞれの機能について考える戦略で、営業戦略やマーケティング戦略といった言い方をします。

清家奈津子
そうでしょう?
なので、安心して学習してください。
まずはアンゾフの成長マトリクスから見ていきましょう。
STEP 1
アンゾフの成長マトリクス

清家奈津子
アンゾフの成長マトリクスは、企業がどのように成長していくかを考えるためのフレームワークです。

清家奈津子
アンゾフは、経営戦略の父とも呼ばれる有名な経営学者です。

清家奈津子
はい。そのとおりです。
アンゾフの成長マトリクスでは、「製品」と「市場」の二つについて、それぞれ「既存」と「新規」に分けます。
実際に表を見てもらう方が分かりやすいので、まずは表を見てください。


清家奈津子
そのとおりです。
その組合せによって、4つの成長戦略に分類しています。
まず、既存製品を既存市場でさらに販売していくのが「市場浸透戦略」です。

清家奈津子
そのイメージで大丈夫です。
たとえば、広告を増やしたり、キャンペーンを行ったりして、現在の市場で販売量やシェアを増やしていきます。

清家奈津子
そのとおりです。
次に、既存製品を新しい市場へ販売していくのが「新市場開拓戦略」です。

清家奈津子
そういうことです。
たとえば、国内で販売していた商品を海外でも販売するといった場合ですね。
そして、新製品を既存市場へ投入するのが「新製品開発戦略」です。

清家奈津子
はい。
最後に、新製品を新しい市場へ投入するのが「多角化戦略」です。

清家奈津子
「多角化」という言葉は、事業が一つの方向だけではなく、複数の方向へ広がっていくイメージで考えると分かりやすいと思います。
これまで扱っていなかった製品やサービスを、これまで対象としていなかった市場へ展開するということは、既存事業とは異なる新しい事業領域へ進出することになります。
そのため、この組合せを多角化戦略といいます。

清家奈津子
覚え方としては、そのイメージで大丈夫です。

清家奈津子
はい。製品も市場も新しいので、多角化の例にはなります。
ただ、多角化を考えるときには、既存事業との「シナジー」が得られるかという点も重要になります。

清家奈津子
シナジーは、日本語では相乗効果といいます。
たとえば、既存事業で持っている技術、販売網、ブランド、ノウハウなどを新しい事業にも活用できれば、複数の事業を組み合わせることで、単独で行う以上の効果を得られることがあります。
これを「シナジー効果」といいます。

清家奈津子
はい。そのイメージです。

清家奈津子
それならシナジー効果が期待できるかもしれませんね。
それと、もう一つ関連する言葉として「範囲の経済」があります。

清家奈津子
複数の製品や事業で、設備、技術、販売網などの経営資源を共通して利用することで、それぞれを別々に行うよりもコストを抑えられる効果です。
コスト面でのシナジー効果と考えてください。

清家奈津子
はい。4つとも覚えてください。
ただ、先ほどバロンくんも言っていたとおり、新市場開拓戦略と、新製品開発戦略は分かりやすいので、すぐ覚えられると思います。
既存製品と既存市場の組合せの市場浸透戦略と、新製品と新市場の組合せの多角化戦略を頑張って覚えてください。

清家奈津子
先ほど紹介した表を参考に覚えるのも良いかもしれませんね。
ここで覚えること
- アンゾフの成長マトリクスは、製品と市場を「既存」「新規」に分けて4つの成長戦略に分類する
- 既存製品 × 既存市場=市場浸透戦略
- 既存製品 × 新市場=新市場開拓戦略
- 新製品 × 既存市場=新製品開発戦略
- 新製品 × 新市場=多角化戦略
- シナジー効果は、複数の事業などを組み合わせることで、単独で行う以上の効果を得ること
- 範囲の経済は、複数の製品や事業で経営資源を共通して利用することでコストを抑える効果
STEP 2
ポーターの3つの基本戦略

清家奈津子
次は、競争戦略です。
まずは、ポーターが提唱した3つの基本戦略を覚えましょう。

清家奈津子
はい。ポーターは、競争戦略に関する研究の第一人者として知られる経営学者ですね。
ポーターが提唱した3つの基本戦略は、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」の3つです。

清家奈津子
では、一つずつ見ていきましょう。
まず「コストリーダーシップ戦略」です。
これは、競合他社より低いコストを実現することで、競争上有利な立場を目指す戦略です。

清家奈津子
それは少し違いますよ。
コストリーダーシップ戦略を、単純に価格を安くする低価格戦略と考えてはいけません。
重要なのは、競合他社より低いコストで製品やサービスを提供できる体制を作ることです。
単純に販売価格だけを下げれば、利益が減ったり、場合によっては赤字になったりしますよね。

清家奈津子
そのとおりです。
コストが低ければ、価格を下げて競争することもできますし、価格を維持して高い利益を確保することもできます。

清家奈津子
その理解で大丈夫です。
また、低コストを実現する上で重要なのが、「規模の経済」と「経験曲線効果」です。

清家奈津子
先ほどコスト面でのシナジー効果と説明したのは「範囲の経済」ですね。
規模の経済は、スケールメリットとも言いますが、生産量などの事業規模が大きくなることで、製品1個あたりのコストが低下する効果です。

清家奈津子
はい。そのイメージで大丈夫です。
同じ工場や設備を使うのであれば、少ししか作らない場合よりも、大量に作る方が1個あたりの負担を小さくできます。
経験曲線効果は、製品を累積して生産していくことで、作業への習熟や効率化が進み、単位当たりのコストが低下していく効果です。

清家奈津子
はい。その違いで整理して大丈夫です。
慣れればミスも減るので無駄なコストがなくなりますし、慣れれば慣れるほど作業の効率も上がるので、その分コスト削減につながります。
次は「差別化戦略」です。

清家奈津子
はい。そのとおりです。
差別化戦略は、品質、機能、デザイン、ブランド、サービスなどで、競合他社とは異なる独自の価値を提供する戦略です。

清家奈津子
そういうことですね。
また、差別化を行う上で重要なのが「コアコンピタンス」です。

清家奈津子
今、無理やりボケましたね?

清家奈津子
まあ、いいでしょう。
コアコンピタンスは、他社には簡単に真似することができない、自社ならではの強みのことです。
コアが核で、コンピタンスが能力という意味なので、企業の中核となる能力のことですね。

清家奈津子
差別化戦略は、他社との違いを打ち出す戦略です。
たとえば、他社にはないサービスを始めて差別化を図ったとします。
でも、それが簡単に真似できるサービスであれば、他社もすぐに同じことを始めるかもしれません。

清家奈津子
そのとおりです。
それに対して、コアコンピタンスを生かして、他社には簡単に真似できない製品やサービスを提供できれば、差別化を維持しやすくなります。

清家奈津子
そのとおりです。
もちろん、差別化戦略にコアコンピタンスが必須というわけではありませんが、重要な要素になることがあるというのは覚えておきたいポイントです。
そして3つ目が「集中戦略」です。

清家奈津子
これは、特定の市場や顧客層に、限られた経営資源を集中させる戦略です。
たとえば、すべての消費者を狙うのではなく、特定の年齢層や地域などに対象を絞って、その市場で競争力を高めます。

清家奈津子
とても良い理解です。
また、集中戦略では、絞り込んだ市場で低コストを目指すコスト集中と、差別化を目指す差別化集中の2つに細分化されます。
ここまでがポーターが提唱した3つの基本戦略です。
それぞれの特徴は理解できましたか?

清家奈津子
はい。その整理で覚えてください。
ここで覚えること
- ポーターの3つの基本戦略は、コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略
- コストリーダーシップ戦略は、競合他社より低いコストを実現して競争優位を得る
- 規模の経済は、事業規模が大きくなることで単位当たりのコストが低下する効果
- 経験曲線効果は、累積した生産経験によって効率化が進み、単位当たりのコストが低下する効果
- 差別化戦略は、競合他社とは異なる独自の価値を提供する
- コアコンピタンスは、他社には簡単に真似できない自社ならではの中核的な能力
- 集中戦略は、特定の市場や顧客層に経営資源を集中する
STEP 3
コトラーの競争地位別戦略

清家奈津子
次は、コトラーの競争地位別戦略です。

清家奈津子
はい。コトラーも、有名な経営学者ですね。
コトラーは「近代マーケティングの父」や「マーケティングの神様」として知られています。

清家奈津子
競争地位は、競争ポジションということもありますが、市場の中で、その企業がどのような立場にいるかということです。
競争地位は「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」の4つに分けます。

清家奈津子
名前からイメージしやすい内容なので頑張りましょう。
まず「リーダー」です。
リーダーは、その市場で大きなシェアを持ち、業界を主導する立場の企業です。

清家奈津子
そのとおりです。
リーダー企業は、市場規模の拡大や業界全体を牽引する役割があります。
また、採るべき戦略としては、市場全体を幅広くカバーする「全方位戦略」が挙げられます。

清家奈津子
はい。
市場のあらゆる顧客ニーズに対応するというのも、リーダーとしての役割の一つですね。
他にも、チャレンジャーが新しい製品やサービスで差別化してきた場合には、それと似たものを提供する「同質化戦略」を採ることもあります。

清家奈津子
そういうことです。
リーダーとしての優位な立場を守るための戦略です。
次は「チャレンジャー」です。

清家奈津子
そのとおりです。
チャレンジャーは、リーダーとの差を縮めたり、逆転したりすることを目指します。
そのため、リーダーと同じことをするのではなく、「差別化戦略」を採ります。

清家奈津子
はい。そこで、リーダーとは違う価値を打ち出して競争します。
次が「フォロワー」です。

清家奈津子
そうですね。
SNSのフォロワーは、ファンとかそういう意味になりますが、こちらは追随する企業という意味合いですね。
フォロワーは、リーダーやチャレンジャーとの正面からの競争を避けて、安定した収益を得ることを重視します。

清家奈津子
そのとおりです。
強い企業へ攻撃を仕掛ければ、値下げなどで報復されて、かえって苦しくなることもあります。
そのため、無理にシェアを奪いにいくのではなく、成功している企業の製品や戦略を参考にする「模倣戦略」を採ります。

清家奈津子
同質化戦略は、チャレンジャーが打ち出した差別化の効果を弱めるために、似た製品やサービスを投入する戦略です。
一方の模倣戦略は、すでに成功している製品や戦略を参考にすることで、研究開発費や失敗のリスクを抑えることを狙います。

清家奈津子
はい。
最後が「ニッチャー」です。

清家奈津子
ニッチャーは、大企業があまり狙わないような狭い市場や特定の顧客層に狙いを定める「ニッチ戦略」を採用する企業です。

清家奈津子
その理解で大丈夫です。
ちなみに、ニッチは「すき間」という意味の言葉なので、大企業があまり狙わないようなニーズとニーズのすき間をニッチといいます。
ということで、競争地位については、地位と採用する戦略をセットで覚えてください。
ここで覚えること
- 競争地位は、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つ
- リーダーは、全方位戦略や同質化戦略
- チャレンジャーは、差別化戦略
- フォロワーは、模倣戦略
- ニッチャーは、ニッチ戦略
STEP 4
ブルーオーシャン戦略

清家奈津子
最後に、ブルーオーシャン戦略を確認しましょう。

清家奈津子
そうですね。
ブルーオーシャン戦略は、競争の激しい既存市場から脱却し、競争のない新しい市場を創造する戦略です。

清家奈津子
ブルーオーシャン戦略では、競争の激しい既存市場を「レッドオーシャン」と呼んでいます。

清家奈津子
イメージとしては、競争が激しいので、お互いに血を流して戦っているような状態だからレッドオーシャンとなっています。

清家奈津子
ブルーオーシャンは、血が流れていない青い海というイメージで、競争のない新しい海を意味しています。

清家奈津子
はい。そのとおりです。

清家奈津子
必ずしも、全く新しいビジネスを一から始めるという意味ではありません。
既存の商品やサービスの価値を見直したり、新しい価値を加えたりすることで、これまでとは違う需要や市場を作り出すこともできます。

清家奈津子
そのイメージで大丈夫です。
ブルーオーシャン戦略で重要なのが、新しい価値を生み出すことで、これまで存在しなかった需要や市場を作り出す「バリューイノベーション」という考え方です。
ここで覚えること
- ブルーオーシャン戦略は、競争の少ない新しい市場を創造する戦略
- 競争の激しい既存市場をレッドオーシャンという
- ブルーオーシャンでは、新しい価値や需要を生み出すことを目指す
- 新しい価値を生み出して新しい需要や市場を作り出す考え方を、バリューイノベーションという
STEP 5
今日のまとめ

清家奈津子
それでは、今日の内容をまとめましょう。

清家奈津子
そのとおりです。
既存製品と既存市場なら市場浸透戦略、既存製品と新市場なら新市場開拓戦略、新製品と既存市場なら新製品開発戦略、新製品と新市場なら多角化戦略でした。

清家奈津子
はい。
そして、ライバルとどう競争するかを考えるのが、ポーターの3つの基本戦略でした。

清家奈津子
低コストを実現する考え方として、規模の経済と経験曲線効果も学習しましたね。

清家奈津子
その整理で大丈夫です。
差別化戦略では、他社には簡単に真似できない自社ならではの強み、「コアコンピタンス」も出てきました。

清家奈津子
そして、企業が市場の中でどのような立場にいるかによって戦略を考えるのが、コトラーの競争地位別戦略です。

清家奈津子
よく整理できていますね。

清家奈津子
その新しい価値を生み出す考え方が、バリューイノベーションでした。

清家奈津子
そうですね。
今回は一つ一つの用語をばらばらに丸暗記するのではなく、「どの理論の、何についての戦略なのか」を意識して覚えてください。

清家奈津子
さぁ、どうでしょう……。
個人的な見解ですが、ニッチの方かなと思いますけどね。
STEP 6
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