経営組織

経営組織は、企業の目標を達成するために、仕事の分担や権限・責任、指揮命令の関係などを定めた仕組みです。経営戦略や事業の特徴に応じて、職能別組織、事業部制組織、マトリックス組織など、適した組織形態を採用します。

最終更新日:2026年10月28日

このページで覚えること

このページでは、次の3点を押さえます。

  • 経営戦略と組織の関係、および組織を運営するための基本原則
  • 代表的な組織形態の特徴と、それぞれの長所・注意点
  • カンパニー制と持株会社制、プロジェクト組織とマトリックス組織などの違い
清家奈津子

清家奈津子

今回は、経営組織について学習します。

バロン

バロン

組織形態とかの学習ですかな?

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
バロンくんは、「組織は戦略に従う」という言葉を聞いたことはありますか?

バロン

バロン

聞いたことはないですが、意味なら何となくは分かりますぞ。

清家奈津子

清家奈津子

これは、チャンドラーという経営史学者が示した有名な命題です。
簡単に言うと、企業が採用する戦略に応じて、それを実行するための組織構造も変わる、という考え方です。

バロン

バロン

企業が何を目指すかによって、それに合った組織にするのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
一方で、「戦略は組織に従う」という言葉もあります。

バロン

バロン

今度は逆になっていますな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。アンゾフという経営学者の考え方として知られています。
企業が実際に選んだり実行したりできる戦略は、現在の組織の仕組みや、人材、得意なことなどにも影響される、という見方です。

バロン

バロン

立派な戦略を考えても、それを実行できる組織でなければ難しい、ということですかな?

清家奈津子

清家奈津子

はい。その理解で大丈夫です。

バロン

バロン

戦略が先か、組織が先か、なかなか難しい話ですな。
それで、これはどっちが正解なのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

これは、どちらか一方だけが正解という話ではありません。

バロン

バロン

お茶を濁しましたな。

清家奈津子

清家奈津子

いえ、両方の見方が必要なのです。
例えば、「海外で事業を広げる」という戦略を実行するために、海外事業を担当する部門をつくることが考えられますね。

清家奈津子

清家奈津子

ただ、担当できる人材や、現地で判断できる権限がなければ、部門をつくるだけではうまく進みません。
戦略に合わせて組織を整えるとともに、現在の組織で何ができるかを踏まえて、戦略の内容や進め方も考える必要があります。

バロン

バロン

やりたいことと、それを実行できる体制を、両方考えるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。戦略と組織は、お互いに影響し合う関係にあります。

バロン

バロン

なるほどですぞ。組織は経営戦略と切っても切れない関係にあるのですな。
だから、奈津子先生が担当という訳ですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。そのとおりです。
今回も、私が分かりやすく解説していきますので、安心して学習してくださいね。

バロン

バロン

今日も長くなりそうなことだけは分かりましたぞ。

階層型組織と組織の基本原則

清家奈津子

清家奈津子

まずは、階層型組織です。ピラミッド型組織とも呼ばれます。
社長、部長、課長、担当者というように、上下の階層を設けて、権限や責任、指揮命令の関係を定めた組織です。

階層型組織の組織図。社長から3人の部長、各部長の担当者へつながる階層構造
バロン

バロン

会社の組織図として、よく見る形ですな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。この図では、社長の下に3人の部長がいて、それぞれの部長の下に担当者がいます。
誰が誰を管理するかが明確になり、組織全体を統率しやすくなります。

バロン

バロン

社長が、担当者全員に直接指示するわけではないのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。人数が増えると、一人ですべての仕事を確認したり、相談に対応したりすることは難しくなります。
ここで、組織を運営するときの基本原則も見ておきましょう。

清家奈津子

清家奈津子

一人の管理者が、直接、適切に指導・管理できる部下の人数や範囲を、スパンオブコントロールといいます。
「管理の幅」や「統制範囲」とも呼びます。

バロン

バロン

一人で面倒を見られる人数には、限りがあるということですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。この図では、社長が直接管理する相手は3人の部長です。
部長がそれぞれの担当者を管理することで、社長一人に管理が集中しないようにしています。

バロン

バロン

では、一人の上司が担当する人数は、少ないほどよいのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

少なければよい、というわけでもありません。
同じ人数の社員を細かく分けて管理すると、管理者や階層が増え、情報伝達や意思決定に時間がかかる場合があります。

清家奈津子

清家奈津子

適切な人数は、仕事の難しさや、部下の経験などによっても変わります。
管理が行き届くことと、組織全体が円滑に動くことの両方を考える必要があります。

清家奈津子

清家奈津子

次は、例外の原則です。
日常的・定型的な仕事の判断は部下に任せ、上位の管理者は重要な問題や例外的な問題に集中する、という考え方です。権限委譲の原則とも呼ばれます。

バロン

バロン

何でも社長の判断を待っていては、仕事が進みませんからな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。
例えば、決められた予算の範囲内で行う通常の備品購入は現場に任せ、新しい工場の建設など、会社全体に大きく影響することは経営者が判断します。

バロン

バロン

普段の仕事は任せて、大きな判断に時間を使えるようにするのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。ただし、仕事を任せるときは、本人が判断できる範囲や、上司へ報告・相談すべきことも明確にします。

清家奈津子

清家奈津子

また、仕事の責任に見合った権限を与えることを、権限・責任一致の原則といいます。

バロン

バロン

責任だけ負わされて、自分で何も決められなければ困りますな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。担当する仕事を進めるために必要な権限を与えることが大切です。

清家奈津子

清家奈津子

もう一つ、命令統一性の原則も押さえましょう。
これは、一人の部下が、原則として一人の直属の上司から指示・命令を受けるという考え方です。

バロン

バロン

いろいろな人から、別々のことを言われないようにするのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
例えば、ある上司から「この仕事を先に」、別の上司から「それより、こちらを先に」と言われると、担当者は困ってしまいますね。

バロン

バロン

どちらに従っても、もう一人に怒られそうですぞ。

清家奈津子

清家奈津子

そのような混乱を防ぎ、誰の指示に従うか、誰が責任を持つかを明確にするための原則です。
ただし、後で学ぶマトリックス組織のように、複数の指揮命令系統を組み合わせる組織もあります。

ここで覚えること

  • 階層型組織=上下の階層を設け、権限・責任や指揮命令の関係を定めた組織のこと。
  • スパンオブコントロール=一人の管理者が直接、適切に管理できる部下の人数や範囲のこと。
  • 例外の原則(権限委譲の原則)=日常的な判断は部下に任せ、上位者は重要・例外的な問題に集中する。
  • 権限・責任一致の原則=担当する仕事の責任に見合った権限を与える。
  • 命令統一性の原則=一人の部下が、原則として一人の直属の上司から指示・命令を受ける。

職能別組織と専門化の原則

清家奈津子

清家奈津子

次は、職能別組織です。機能別組織とも呼ばれます。
開発、営業、生産、管理など、仕事の機能ごとに部門を分ける組織です。

職能別組織の組織図。社長の下に開発部・営業部・生産部・管理部を配置
バロン

バロン

今度は、部長A、部長Bではなく、仕事の名前で分かれていますな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。開発を担当する人は開発部、販売活動を担当する人は営業部というように、同じ機能を担当する人をまとめます。

清家奈津子

清家奈津子

なお、階層型組織は、上下の関係に注目した呼び方です。
職能別組織は、部門の分け方に注目した呼び方なので、この図のように、職能別組織が階層型の構造を持つこともあります。

バロン

バロン

先ほどの話とは、組織を見るところが違うのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
職能別組織では、同じ分野の人が集まるため、知識や技術を共有し、専門性を高めやすくなります。

バロン

バロン

開発の人が集まれば、開発の経験や工夫を教え合えるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。こうした考え方に関係するのが、専門化の原則です。
仕事を専門分野ごとに分担し、それぞれが担当する仕事に専念することで、熟練度や効率を高めます。

バロン

バロン

仕事ごとに詳しい人がそろえば、会社全体もうまく動きそうですな。

清家奈津子

清家奈津子

専門性を高めやすい反面、部門どうしの調整が難しくなる場合があります。
例えば、営業部は「商品の種類を増やしたい」、生産部は「種類を絞って、まとめて生産したい」と考えるかもしれません。

バロン

バロン

それぞれの部署では、そのほうが仕事を進めやすいのでしょうな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。そこで、会社全体として何を優先するかを調整する必要があります。
職能別組織では、こうした部門間の調整や重要な意思決定が、社長などの経営トップに集中しやすいという特徴があります。

バロン

バロン

何でも社長が決めるとなると、大変ですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。会社の規模が大きくなり、事業が増えて複雑になると、経営トップの負担が大きくなります。
その結果、意思決定に時間がかかり、市場の変化に素早く対応できなくなる場合があります。

バロン

バロン

では、職能別組織は、どのような会社に向いているのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

一般的には、規模が比較的小さい企業や、単一の事業を行っている企業に向いています。
また、市場の変化が少なく、顧客が安定している企業も、職能別組織の専門性や効率の高さを生かしやすいですね。

バロン

バロン

仕事の種類があまり複雑でなければ、社長も全体を管理しやすいのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
また、職能別組織には、人材育成の面でも注意点があります。
各部門の責任者は、自分の専門分野の仕事が中心になるため、事業全体を管理する経験を積みにくい傾向があります。
そのため、将来の経営幹部や後継者が育ちにくくなる場合もあります。

バロン

バロン

専門分野に詳しい人は育っても、会社全体を任せられる人は育ちにくいのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。
職能別組織は、専門性と効率を高めやすい一方、規模が大きくなると経営トップへの負担の集中や、部門間の調整が課題になることを押さえておきましょう.

ここで覚えること

  • 職能別組織=開発・営業・生産など、仕事の機能ごとに分ける組織。
  • 専門化の原則=仕事を専門分野ごとに分担し、熟練度や効率を高める考え方。
  • 規模が比較的小さい企業、単一事業の企業、市場や顧客が安定している企業に向いている。
  • 専門性を高めやすい一方、部門間の調整や経営トップへの意思決定の集中が課題になりやすい。
  • 全社的な経営経験を積みにくく、経営幹部や後継者の育成が難しくなる場合がある。

事業部制組織

清家奈津子

清家奈津子

次は、事業部制組織です。
製品群や地域などの事業単位で部門を分け、それぞれに必要な機能と権限を持たせる組織です。

事業部制組織の組織図。A・B・Cの各事業部に開発・営業・生産・管理の機能を配置
バロン

バロン

今度は、それぞれの事業部の中に、開発や営業が入っていますな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。例えば、A事業部が家電、B事業部が食品、C事業部が衣料品を担当すると考えてみましょう。
それぞれの商品では、お客様も、必要な技術も、売り方も異なります。

バロン

バロン

家電と食品では、仕事の進め方もずいぶん違いそうですぞ。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。そこで、各事業部の中に、その事業に必要な開発、営業、生産などの機能を置きます。
事業部長に権限を与えることで、その事業の状況に応じた判断をしやすくします。

バロン

バロン

家電のことは家電の事業部で、食品のことは食品の事業部で、まとまって考えるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
また、各事業部には、売上や費用を管理し、利益を上げる責任である利益責任を持たせます。

バロン

バロン

どの事業が、どれだけ利益を出しているかも分かりやすくなりますな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。事業ごとの経営責任を明確にしやすいことも特徴です。
製品や市場の変化に、各事業部が対応しやすくなります。

バロン

バロン

それなら、職能別組織よりも便利なのではありませんかな?

清家奈津子

清家奈津子

事業部制にも注意点があります。
各事業部に似た機能を置くため、人員や設備が重複し、会社全体では費用が増えることがあります。

清家奈津子

清家奈津子

また、自分の事業部の利益を優先しすぎると、ほかの事業部との協力が進まなくなる場合もあります。
本社には、会社全体の方針や、事業部間の調整を担う役割が必要です。

ここで覚えること

  • 事業部制組織=製品群や地域などの事業単位で分け、各事業部に必要な機能と権限を持たせる組織。
  • 事業ごとの判断がしやすく、利益責任も明確になる。
  • 人員・設備の重複や、事業部間の連携不足に注意する。

カンパニー制組織と持株会社制

清家奈津子

清家奈津子

事業部の独立性をさらに高めたものが、カンパニー制組織です。
社内の各事業を「カンパニー」として、独立した会社のように運営します。

バロン

バロン

カンパニーということは、それぞれ別の会社になるのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

ここでいう社内カンパニーは、基本的には同じ会社の内部組織です。
別法人にするのではなく、社内にありながら、独立した会社のように大きな権限と責任を持たせます。

バロン

バロン

会社の中で、小さな会社のように動くのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。一般的には、事業部制よりも人事や投資などの権限を広く持たせ、独立採算を徹底します。
独立採算とは、各カンパニーの収益や費用などを区分して、その事業の経営成績や責任を明確にする考え方です。

バロン

バロン

自分たちで決められることが増える分、成果にも責任を持つのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
各カンパニーが事業の運営に取り組み、本社は会社全体の戦略や資源配分、各カンパニーの評価などに重点を置きます。

清家奈津子

清家奈津子

事業ごとの意思決定を速くしやすい一方、独立性が高まるほど、会社全体としての方針や連携を保つ工夫も必要になります。

清家奈津子

清家奈津子

ここまでは、同じ会社の中で事業を分ける方法でした。
一方、事業を別の会社に分け、それらを持株会社がまとめる持株会社制もあります。

バロン

バロン

今度は、本当に別の会社になるのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

はい。各事業を担当する会社が、法律上も別の会社になります。
そして、ほかの会社の経営を支配・管理することを目的として、その会社の株式を保有する会社を、持株会社といいます。

バロン

バロン

株式を持つことで、いくつかの会社をまとめるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
例えば、家電会社、食品会社、衣料品会社を子会社とし、親会社である持株会社が、グループ全体の戦略や資金配分などを考える形です。

清家奈津子

清家奈津子

「持株会社」は、その統括を担う会社そのものを指します。
「持株会社制」は、持株会社を中心に、複数の会社を管理する組織の仕組みを指します。

バロン

バロン

まとめ役の会社の名前と、グループ全体の仕組みの名前なのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。ここまでの違いを整理しましょう。

組織形態事業を担当する単位主な特徴
事業部制組織社内の事業部事業ごとに権限と利益責任を持たせる
カンパニー制組織社内のカンパニー独立性を高め、大きな権限と責任を持たせて独立採算を徹底する
持株会社制別法人である事業会社持株会社が株式保有を通じて各社を管理し、グループ全体を統括する
バロン

バロン

社内の部門として任せるのか、別の会社にして任せるのかが、大きな違いですな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。
ただし、企業が必ずこの順番で組織を変えていくわけではありません。事業の特徴や経営の方針に合わせて選びます。

清家奈津子

清家奈津子

また、持株会社には、製造・販売などの事業を自ら行わず、子会社の管理に専念する純粋持株会社と、自らも事業を行う事業持株会社があります。

バロン

バロン

持株会社でも、自分で事業を行う場合があるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。まずは、「株式保有を通じて、ほかの会社の経営を支配・管理する会社」という基本を押さえてください。

ここで覚えること

  • カンパニー制組織=社内の各事業を、独立した会社のように運営する組織。
  • 持株会社=株式保有を通じて、ほかの会社の経営を支配・管理する会社。
  • 持株会社制=持株会社を中心に、別法人である事業会社を管理する仕組み。
  • 持株会社には、純粋持株会社と事業持株会社がある。

プロジェクト組織

清家奈津子

清家奈津子

次は、プロジェクト組織です。
特定の目的を達成するために、必要な人材を集めて、一時的につくる組織です。

バロン

バロン

ずっと存在する部署ではないのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

はい。例えば、「新しい通販サイトを立ち上げる」という目的のために、開発、営業、管理などの担当者を集めてチームをつくります。

バロン

バロン

一つの仕事を完成させるために、いろいろな部署から集まるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
プロジェクトの責任者の下で、目標や期限、役割を明確にして取り組みます。部門の枠を越えて、必要な専門知識を集められることが長所です。

バロン

バロン

通販サイトが完成したら、その組織はどうなるのですかな?

清家奈津子

清家奈津子

目的の達成やプロジェクトの終了に伴い、原則として解散します。
完成したサイトの運営は通常の担当部署へ引き継ぎ、メンバーは元の部署や次の仕事へ移ります。

バロン

バロン

目的があって、終わりもある組織なのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。
通常の業務と兼務する場合には、仕事の優先順位や、人員・時間の配分を調整することも大切です。

ここで覚えること

  • プロジェクト組織=特定の目的を達成するために編成する、一時的な組織。
  • 必要な人材を集め、目標・期限・役割を明確にして取り組む。
  • プロジェクトの終了に伴い、原則として解散する。

マトリックス組織

清家奈津子

清家奈津子

次は、マトリックス組織です。
職能別と事業別など、二つの異なる組織の軸を組み合わせた組織です。

清家奈津子

清家奈津子

この図では、縦に職能別の部門、横にプロジェクトを配置しています。

マトリックス組織の組織図。職能別の部門とプロジェクトA・B・Cを縦横の二つの軸で配置
バロン

バロン

縦と横の両方に、つながりがありますな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。例えば、開発部に所属しながら、プロジェクトAにも参加する人がいます。
この人は、開発部長とプロジェクトAの責任者という、両方の指揮命令系統に関係します。

バロン

バロン

上司が二人いるようなものですかな?

清家奈津子

清家奈津子

その理解で大丈夫です。
例えば、専門技術や人材育成は開発部長が担当し、プロジェクトの目標や納期はプロジェクトの責任者が担当する、といった分担が考えられます。

バロン

バロン

開発の専門性を保ちながら、プロジェクトの仕事も進めるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
職能別組織の専門性と、事業やプロジェクトを横断的に進める働きを組み合わせ、人材や知識を活用しやすくする狙いがあります。

清家奈津子

清家奈津子

組合せは、この図のような職能別とプロジェクト別だけではありません。
職能別と製品別、職能別と地域別などの形もあります。

バロン

バロン

でも、最初に「一人の上司から指示を受ける」と習いましたぞ。

清家奈津子

清家奈津子

はい。マトリックス組織は、命令統一性の原則とは異なり、複数の指揮命令系統を持つ点が特徴です。
そのため、指示が食い違ったり、責任の範囲が曖昧になったりするおそれがあります。

バロン

バロン

部長からもプロジェクトの責任者からも、別の仕事を急ぐように言われたら困りますな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。
仕事の優先順位や権限の分担をあらかじめ明確にし、必要に応じて責任者どうしで調整することが重要です。

バロン

バロン

二つのつながりを生かすために、調整する仕組みも必要なのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
なお、プロジェクト組織は「特定の目的のためにつくる、一時的な組織」という特徴に注目した呼び方です。マトリックス組織は「複数の軸で管理する構造」に注目した呼び方なので、プロジェクトをマトリックス型で運営することもあります。

ここで覚えること

  • マトリックス組織=職能別と事業別・プロジェクト別など、二つの軸を組み合わせた組織。
  • 専門性を生かしながら、部門を越えて事業やプロジェクトに取り組める。
  • 複数の指揮命令系統を持つため、指示の調整や責任分担の明確化が重要。

社内ベンチャー

清家奈津子

清家奈津子

最後は、社内ベンチャーです。
新しい事業を生み出すために、社内に独立性の高い組織をつくり、小さな企業のような自主性を持たせて運営する仕組みです。

バロン

バロン

社員が会社を辞めて、起業するということですかな?

清家奈津子

清家奈津子

会社の支援を受けながら、社内で新規事業に挑戦するということです。
例えば、家電メーカーの社員が、「商品を販売するだけでなく、定額料金で貸し出すサービスを始めたい」と提案したとしましょう。

清家奈津子

清家奈津子

その提案を事業に育てるために、会社が資金や人材を提供し、独立性の高いチームに任せる、といった形です。

バロン

バロン

会社の力を借りながら、新しい商売を始めるのですな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。会社が持つ資金、技術、ブランドなどを活用しながら、社員の発想や行動力を新規事業につなげます。
新しい事業の創出だけでなく、挑戦する人材の育成や、組織の活性化も期待できます。

バロン

バロン

小さな会社のように動くところは、カンパニー制にも似ていますな。

清家奈津子

清家奈津子

自主性を持たせる点は似ていますね。
カンパニー制は、既存事業も含め、事業ごとの独立性を高める組織形態です。社内ベンチャーでは、特に新しい事業を生み出すことが中心になります。

バロン

バロン

新しいことに挑戦するための組織、という点が大事なのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
新しい事業に挑戦するには、会社の支援を受けながらも、チームが自主的に判断し、行動できることが大切です。
会社が細かな判断にまで口を出してしまうと、自由な発想や素早い行動が難しくなります。

ここで覚えること

  • 社内ベンチャー=新規事業の創出を目指し、社内に独立性の高い組織を設けて運営する仕組み。
  • 会社の資金・技術などを活用しながら、社員の発想を事業化する。
  • 新規事業の創出、人材育成、組織の活性化につながる。

今日のまとめ

清家奈津子

清家奈津子

今回は、経営組織について学習しました。
まずは、それぞれの組織が、何を基準に分かれ、どのように仕事を進めるかを整理しましょう。

組織形態・仕組み押さえるポイント
階層型組織上下の階層を設け、権限・責任や指揮命令の関係を定める
職能別組織開発・営業・生産など、仕事の機能ごとに分ける
事業部制組織製品群や地域などの事業ごとに分け、権限と利益責任を持たせる
カンパニー制組織社内の各事業を、独立した会社のように運営する
持株会社制持株会社が株式保有を通じて、別法人である事業会社を管理する
プロジェクト組織特定の目的のために、一時的に編成する
マトリックス組織職能別と事業別など、二つの軸を組み合わせる
社内ベンチャー会社の支援を受け、独立性の高い組織で新規事業に挑戦する
バロン

バロン

同じ会社の組織でも、仕事の種類で分けたり、事業で分けたり、目的のために集まったりするのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。
さらに、組織を動かすときには、一人で何人を管理するか、どこまで判断を任せるか、誰が指示するか、どのように専門分野を分担するかも考えます。

バロン

バロン

組織図を描くだけでなく、その中で人がどう動くかも大切なのですな。

清家奈津子

清家奈津子

そのとおりです。
そして、どの組織にも長所と注意点があります。専門性を高めたいのか、事業ごとの判断を速くしたいのか、新しい事業を生み出したいのかによって、適した仕組みは変わります。

バロン

バロン

最初に出てきた、戦略と組織の話につながりましたな。

清家奈津子

清家奈津子

はい。目指す戦略に合った組織を整え、組織が持つ強みや制約も戦略に反映していくことが大切です。

バロン

バロン

今回は予想通り覚えることが多いですな。

清家奈津子

清家奈津子

そうですね。でも、分からないところはなかったですよね?

バロン

バロン

その点は、大丈夫でしたぞ。

清家奈津子

清家奈津子

名前だけでなく、構造と役割を結び付けて覚えておきましょう。
それでは、確認問題に進みます。

確認問題

問1 階層型組織の説明として、最も適切なものはどれですか?
問2 スパンオブコントロールの説明として、最も適切なものはどれですか?
問3 例外の原則(権限委譲の原則)に沿った運営はどれですか?
問4 仕事を専門分野ごとに分担し、それぞれが担当する仕事に専念することで、熟練度や効率を高める考え方はどれですか?
問5 単一の事業を営み、市場の変化が少なく、顧客も安定している比較的小規模な企業に適した組織形態はどれですか?
問6 事業部制組織の特徴として、最も適切なものはどれですか?
問7 カンパニー制組織と持株会社制の違いとして、最も適切なものはどれですか?
問8 持株会社の説明として、最も適切なものはどれですか?
問9 新しい通販サイトの立ち上げを目的として、複数の部門から担当者を集め、立ち上げが完了した後に解散するチームを編成しました。この特徴に該当する組織はどれですか?
問10 マトリックス組織の特徴として、最も適切なものはどれですか?
問11 マトリックス組織で、部門長とプロジェクト責任者から異なる優先順位を示された場合の対応として、最も適切なものはどれですか?
問12 社内ベンチャーの説明として、最も適切なものはどれですか?